元日本代表のJ2熊本FW北嶋秀朗(35)が18日、熊本市内で会見し、今季限りでの現役引退を表明した。清水時代の05年、右膝を脱臼して選手生命の危機に立たされる大けがを負った。それ以来、毎年ゴールをノルマとする試合を定め、進退の目安にして得点を決めてきたという。

 だが今季、そのハードルを課し、背水の覚悟でスタメン出場した7月14日のホーム岐阜戦(うまスタ)でついに無得点に終わった。しかも成績不振で吉田監督が退任後、尊敬する池谷社長が監督代行として初采配し、「この試合がすべて」と臨んだ試合で引き分け。北嶋は「点が取れなければ終わり(現役引退)と定めた試合。だから終わりなんです」と潔かった。

 今後については、熊本からスタッフとしての残留要請を受けている。だが現時点で進路は未定。ただ「何かしらサッカーで恩返ししていきたい」としており、指導者の道も模索中だ。現役引退を決めるにあたり、長男の大地君(10)に話したところ「(北嶋が)かなえられなかった夢を僕がかなえる」と返され、胸が熱くなったという。今季は残り6戦。最後まで愛する家族や、ファンに生きざまを伝えていく。【菊川光一】

 ◆北嶋秀朗(きたじま・ひであき)1978年(昭53)5月23日、千葉県生まれ。千葉・市船橋高から97年に柏入り。00年日本が制したアジア杯代表にも選出。03年から清水に所属。06年柏に復帰し、11年のJ1制覇に貢献。昨季途中から熊本でプレー。182センチ、78キロ。