<データが語るJリーグ>

 J2降格が確定している磐田にあって、唯一の明るい話題といえるのが、FW前田遼一(32)のゴール関連の記録だ。エースとしては物足りないが、今季ここまで19位タイの9得点。あと1点で5年連続8度目の年間2桁得点となり、広島FW佐藤、横浜FWマルキーニョスと並ぶJ1歴代最多回数となる。さらに1点を追加して今季11ゴールとすれば、J1通算得点も139点となり、カズと並ぶ歴代2位タイに進出だ(中山雅史が最多157点)。

 今季は開幕から「デスゴール」騒動に苦しんだ。前田がシーズン初得点を挙げたクラブはJ2に降格するとされたが、皮肉にも今度は自クラブがJ2降格(今季初ゴールの浦和は現在2位)。前田の得点した試合も1勝3分け3敗とチームの勝利には結びつかず、得点ランキング10傑から常連の前田の名前は消えた。

 確かにピッチの外は騒がしかったかもしれないが、前田の得点減の理由をデータから検証すると「ホットラインの寸断」という結論にたどり着く。DF駒野のクロスに前田が飛び込むパターンはこれまで何度も見られたが、今季はそれが1点もないのだ。前田を最もアシストしているのが駒野で通算10度。その得意とする形が他チームに警戒されたことで、必然的に前田のゴール数も減った。

 今季は残り2試合。日本代表でもそのまま武器となってきた「駒野クロス→前田ゴール」をシーズンの最後に見たい。【石川秀和】