J1優勝に王手をかけた横浜に「ハマのメッシ」が復帰した。左足関節炎でリハビリを続けていた日本代表FW斎藤学(23)が、28日の通常練習に合流。勝てば9年ぶりのリーグ優勝が決まる明日30日のホーム新潟戦(日産ス)に出場できるめどが立った。03年に優勝を決めた際、会場でボールボーイを務めていた。その10年分の思いを込め、勝利のゴールを目指す。

 高ぶる胸の鼓動を隠すように、斎藤は真剣な表情でボールを追った。紅白戦では主力組に入り、全体練習後には走り込むなど急ピッチで調整した。今月から左足関節炎を抱え、前節の23日磐田戦は痛み止めを飲んでフル出場。26日の練習を途中で切り上げ、27日もクラブハウス内で治療に専念したが、この日は元気な姿を見せた。「悪くない。最高の舞台なのでしっかり準備したい」。新潟戦へ本番モードに入った。

 日産スタジアムで迎える大一番。ちょうど10年前にも同じ会場にいた。横浜が年間優勝を決めた03年11月29日の磐田戦。ジュニアユース所属の13歳はボールボーイを務めた。他会場では勝てば優勝という鹿島が引き分け、首位磐田に勝ったトップチームは、歓喜に包まれた。「すごいなと思った。自分はプロになれるとも思ってなかった」。現在チームメートのFWマルキーニョスが同点ゴール、終了間際に久保竜彦が決勝点。奇跡的な逆転優勝に、斎藤は「鹿島が強いという印象があったけど、あの試合でマリノスの強さを知った」と振り返る。

 10年前の歓喜を、自らの力で再現できるチャンスが明日待っている。ベンチ入りする可能性があるFW端戸とMF佐藤も、当時一緒にボールボーイを務めた。斎藤は「優勝するということは、すごく大変なこと。平常心で臨むことが大事だと思う」。仲間とともに、栄冠をつかみにかかる。【由本裕貴】