<J1:横浜0-2新潟>◇第33節◇11月30日◇日産ス

 横浜が本拠地優勝のチャンスを逃し、優勝争いは最終節に持ち越された。勝てば無条件で優勝だった横浜は、攻め続けた後半の相次ぐ逸機が響いて新潟に敗れた。J1リーグ戦史上最多となる6万人超の観衆の前で9年ぶりの優勝はならず、MF中村俊輔(35)らは川崎Fとの7日の最終節へと気持ちを切り替えた。

 歓喜の時間になるはずだった。試合後のホーム最終戦のセレモニーで選手は無表情で立ち尽くす。FWマルキーニョス、DF栗原は涙を流していた。場内を1周する足取りも重い。大観衆の前で優勝を決められる最高の舞台を台無しにしたショックは、大きかった。

 序盤は連係ミスが目立ち防戦一方。後半はペースを取り戻すが、肝心の得点が生まれない。18分に左CKをフリーのDF中沢がヘディングシュート。24分にはMF中村が鋭く変化するFKで枠をとらえるが、GKの好セーブに阻まれた。迎えた27分、相手の左CKをファーサイドにいた栗原がクリアミス。ボールはゴール前の新潟FW川又の足元に転がり、失点した。後半だけで12本のシュートを外した焦りから徐々に前のめりになり、カウンター攻撃を食らい2点目を失った。

 前節磐田戦で優勝に王手をかけた。樋口監督は新潟戦の3日前まで、栗原や斎藤ら故障持ちの選手に軽めの調整を命じた。前日29日は全員が通常練習に参加。指揮官は「終盤はどうしてもケガ人が出るけど、大一番を前に26人全員が練習できた。素晴らしい」と話すなど、万全の準備を整えて臨んだが、実らなかった。

 試合後、中村は開口一番「今切り替えるのは無理」と漏らした。それでも、すぐに「広島と浦和が先週味わった1週間を、自分たちが味わいながら、どう立て直すか。個人的には最終節までもつれると思っていた。ここで前向きになれる集団かどうかが問われる」と前を向いた。

 次戦はアウェーで、得点王のFW大久保を擁する川崎Fとの対戦だ。勝たなければ広島に逆転される可能性があり、さらなる重圧と闘うことになる。「これで優勝できれば得るものは大きい」と中村。痛恨の1敗を引きずらず、最終決戦へ立ち向かうしかない。【由本裕貴】