仙台が来季J1に昇格するG大阪のMF武井択也(27)、J2に降格する磐田のMF山本康裕(24)に獲得オファーを出したことが14日、分かった。ともにボランチが本職だが、武井は2列目や両サイドバックもできる高性能ユーティリティー選手、山本康はサイドアタッカーとしても高い攻撃力を誇る。22日の天皇杯準々決勝・東京戦へ準備を整える一方、クラブは新監督を迎える来季に向けた補強も進めていく。

 仙台が中盤の戦力アップに動く。ここまで契約満了が発表された4人のうち、MF松下、田村、ジオゴはいずれも今季ボランチとして試合に出場している。8月に右膝を再手術したDF上本が来季開幕も絶望的で、DF角田を中盤からセンターバックに下げるケースを想定すれば、ボランチは優先順位の高い補強ポイントとなっていた。

 武井はG大阪で元日本代表MF明神の後継者と目されていた有望株。11年には3位に入ったチームで出場停止の1試合を除き、リーグ戦全33試合に出場するなど、当時の西野監督から高い評価を受けていた。今季リーグ戦の出場はわずか7試合だが、献身的なプレーに加え、複数ポジションをこなす器用さも備える。チームには流通経大の同期にあたるDF鎌田もいる。

 磐田の下部組織出身の山本康は、ユース時代の06年にクラブ最年少の16歳10カ月25日でトップデビュー。昨夏のロンドン五輪本大会ではバックアップメンバーに回ったものの、各世代で代表に選ばれてきた。果敢に前へ仕掛ける意識が強く、昨季は仙台戦で2試合連続ゴールを含む7得点をマークしている。

 異なる魅力を持った2人だが、G大阪との契約満了が濃厚な武井は複数クラブで争奪戦が予想され、磐田生え抜きの山本康もクラブへの愛着は強い。ボランチ補強の成否が注目される。

 ◆武井択也(たけい・たくや)1986年(昭61)1月25日、栃木市生まれ。国学院栃木高から流通経大を経て、08年にG大阪へ入団。同年8月23日の神戸戦で初出場、10年12月4日の清水戦で初ゴール。J1通算88試合出場、5得点。179センチ、72キロ。血液型A。

 ◆山本康裕(やまもと・こうすけ)1989年(平元)10月29日、浜松市生まれ。磐田の下部組織出身で、08年にU-19日本代表としてアジアユースに出場するなど各世代で代表に選出。10年8月22日の清水戦でJ初ゴール。J1通算142試合出場、11得点。177センチ、76キロ。血液型A。