<天皇杯:仙台1-2東京>◇準々決勝◇22日◇ユアスタ
仙台は6年間チームを率いた手倉森誠監督(46)の花道を飾ることはできなかった。東京に延長戦の末、敗れた。前半3分にFWウイルソン(28)のゴールで幸先よく先制。後半は粘り強い守備で耐え、4年ぶりの4強進出は目前だったが、ロスタイムに直接FKをたたき込まれて同点。延長戦もPK戦突入かと思われた後半15分に決勝点を献上した。悔しさを糧に来季、アーノルド新監督の下で出直しを図る。
結局、ビハインドの時間は10秒にも満たない。90分間はリードしていた。それでも負けた。手倉森監督は、残酷すぎる幕切れを受け入れることができなった。「まだ信じられない気持ちでいっぱい。引き揚げてくる選手の涙を見て、本当に終わったんだと思った」。幸先よく先手を取った前半は激しいプレスで圧倒。後半17分に腰痛のウイルソンが交代するアクシデントにも、組織的な守備は崩れなかった。しかし、後半ロスタイムにFKを決められ、延長戦も終了間際に失点。勝利の女神は非情だった。
指揮官は自らを責めた。「なんでオレは今日、1分遅らせてしまったのか。そのタイミングが自分の中ですごく後悔がある」。1点リードの後半ロスタイム、3枚目のカードを切ることを、少しだけちゅうちょした。4回戦の清水戦では同じ状況から迷わず渡辺を投入して守備を固めていた。「交代枠を使って、落ち着かせていれば、FKを与えることはなかったのかもしれない」。試合後、ロッカー室で選手にわびた。
一体感を重んじ、矢面に立ってきた。11年の名古屋戦。FWが無人のゴールにシュートを外し、興奮したDF角田誠(30)がベンチに向かって「交代させろ!」と叫んでしまったことがあった。手倉森監督は「カク(角田)を許してやってほしい」とチームに頭を下げた上で、本人を諭したという。「お前は若い時のオレと同じだ。将来は指導者になれる器もあると思う。つらい時、最後に守ってやれるのはチームメートしかいないんだぞ」。今や仙台に欠かせない選手となった角田は「『自分が自分が』という部分がなくなった。技術だけじゃなく、メンタルも鍛えてもらった」と感謝する。
悔しさにまみれた13年シーズンが終わった。MF梁勇基(31)は「誠さん(手倉森監督)が築いた土台にプラスアルファをしていく」と雪辱を誓う。それはリオ五輪への挑戦が始まる指揮官も同じ。「自分の気持ちを奮い立たせて来年に進む」。度重なる苦難を乗り越え、ベガルタを変革した反骨心の塊、手倉森誠。次は日本の歴史を塗り替える。【亀山泰宏】



