Jリーグ3連覇とW杯日本代表輩出へ-。広島森保一監督(45)が就任3年目となる2014年シーズンを迎えた。元日の天皇杯こそ準優勝に終わったが、昨季はJ1最終節で逆転での2連覇を達成するなど堂々の2冠。日本人初の2年連続最優秀監督賞も受賞した。鹿島に続く史上2チーム目のJ1・3連覇を目指す今季は、W杯ブラジル大会に出場する日本代表に、広島から選手を送り出すことも目標に加えた。

 -J1で一昨季は初優勝、昨季は2連覇。今季は鹿島に続く史上2チーム目の3連覇を狙う

 森保監督

 まずは賞金圏内(7位以内)に入れるようにしたい。そうすれば優勝争いにも食い込め、優勝を狙える位置につける。昨年は苦しみながら、しぶとく勝利をつかみ取る試合が多かった。そういう戦い方を今年の結果に結びつけ、どんな形でも勝てる常勝軍団を作りたい。3連覇という目標も大事だが、我々らしい戦い方を1試合ずつやっていく。満足して1試合、1日の練習を振り返ることを目指して取り組む。

 -昨季はゼロックス・スーパー杯、J1で2冠に輝いた。元日の天皇杯決勝こそ横浜に敗れたが、立派な成績だ。今季初戦は2年連続3度目の優勝を狙う同スーパー杯(2月22日、国立)になる。マークがより厳しくなる

 森保監督

 「こいつらだけには負けたくない」と、モチベーションをさらに高く持って戦ってくると思う。昨年よりも難しい戦いになるが、そういう状況で戦いができるのはうちのチームだけ。それを乗り越えれば自分たちが成長できるというモチベーションにしていきたい。サッカーの神様が与えてくれた試練かな(笑い)。

 -昨季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で1次リーグ敗退。J1で2連覇を達成したチームとしてACLやクラブW杯といった世界での活躍も必要だ

 森保監督

 ふがいない結果に悔しい思いをしたので今年はリベンジしたい。昨年はシーズンの序盤に主力が4、5人がけがをしてタイミングも悪かった。一方で(ACLで)勝ち上がった柏は2チーム分の戦力があったと思う。Jリーグと並行して戦う中でチームの総合力をつけることが必要だと感じた。

 -3人の息子がサッカーをしている。父親としてどのように接しているか

 森保監督

 連覇した時には息子たちから「おめでとう、父さんに負けないように頑張る」とメールをもらった。基本的には(サッカーのことを)多くは言わないようにしている。自分の好きでサッカーやってるわけだから。第1に楽しいと思うからこそうまくなる。自分も両親から何も言われず、見守ってもらっているだけだった。今は長男と次男が関東の大学へ行っているため、三男の試合しか見ることができない。上の2人の様子は息子たちと連絡取っている嫁に教えてもらっている。インターネットで公式記録もチェックする。試合出てるか出てないか、点を取ったか取ってないか気になるので(笑い)。

 -昨年7月の東アジア杯ではGK西川、DF千葉、MF高萩、青山が日本代表、DFファン・ソッコが韓国代表に選ばれた。今年はW杯イヤーだ

 森保監督

 広島から5人の選手が選ばれて、とても誇りに思った。日本代表に絡めるような選手が多ければ多いほどチームは注目される。指導者として、代表に絡めるような選手を輩出していきたい。日本代表には1人でも多く選ばれ、より良い選手になって欲しいと思っている。【取材・構成=辻敦子】

 ◆森保一(もりやす・はじめ)1968年(昭43)8月23日、長崎市生まれ。長崎日大高から広島の前身マツダ入りし、92~01年まで広島(98年は京都に期限付き移籍)、02年仙台移籍で03年引退。J1通算293試合15得点。日本代表MFとして94年W杯米国大会予選で活躍しドーハの悲劇も経験。守備的MFが「ボランチ」と呼ばれ始めた最初の存在。国際Aマッチ35試合1得点。U-19日本代表や広島、新潟のコーチを経て12年広島史上初の生え抜きから監督に就任。174センチ、68キロ。

 ◆サッカー界で活躍する森保家

 息子は3人ともサッカー選手として活躍中。91年8月生まれの長男翔平は法大4年で父親似の守備的選手。93年9月生まれの次男圭悟は流通経大2年。00年7月生まれで中学1年の三男陸は広島の下部組織に所属。