J1昇格を目指し始動したJ2山形の練習で、イレブンにひときわ鋭い目線を送る人物がいる。今季から新設されたテクニカルダイレクター(TD)石井肇氏(54)だ。日本ではまだなじみの薄い役職だが、主にトップチーム強化を統括しチームマネジメントを行う。札幌監督を含めJ4チームの強化に関わった石井氏に、4季ぶりJ1復帰に向けての意気込みを聞いた。-主な仕事内容は

 石井TD

 チームは生き物ですから、常に状況を把握してサポートする。また石崎(信弘)監督と連絡を密にしての戦力補強、会社と現場のパイプ役になって調整することです。-チームをどう変える?

 石井TD

 日本を支えていくのは、伸び盛りのチームや選手たち。日本サッカーを背負っていく選手を育てなければ空洞化してしまう。J3もできたので武者修行も大事でしょう。最大限に戦力を生かしたい。-札幌強化部長時代は日本代表DF今野を発掘した

 石井TD

 (当時の)岡田監督が育ててくれた。代表レベルの育成は指導者として当然。(山形では)アカデミーとも連絡し合って、ユース選手や東北地域の高校、大学生にも注目していきたい。-1歳年上の石崎監督とのタッグは

 石井TD

 監督はJの試合を日本で1番経験している。曲げないところは曲げないが、柔軟性もある。どのクラブにいっても選手に信頼され人間的な魅力もある。(采配に)立ち入ってはならない部分もあるが、監督の立場を尊重しながら、サポートしたい。-今季の目標は

 石井TD

 ただ上がるだけでなく、J1に定着することが大事。そのベースを作る1年になる。(22日からの)千葉・館山キャンプの目標は、まず戦えるフィジカルを作ることです。【構成

 佐々木雄高】

 ◆石井肇(いしい・はじめ)1959年(昭34)5月26日、神奈川県出身。日大高-日大。高校1、3年時に全国選手権出場。82年に日産自動車入りし、88年大塚製薬に移籍。90年の現役引退後、同チーム監督などを務め、95年にS級コーチライセンス取得。97~00年札幌でヘッドコーチ、監督を歴任。03、04年は仙台のチーム統括部長、強化育成部長。05年から磐田の強化担当、09年から横浜の強化部部長、スカウト担当部長などを務める。現役時はDF。家族は夫人と1女2男。178センチ。血液型A。