逆襲を誓う午(うま)年のシーズンのゲートが開いた。仙台が18日、今季初の全体練習を行った。グラハム・アーノルド監督(50)とともにセントラルコースト(オーストラリア)からフィジカルコーチとして加わったアンドリュー・クラーク氏(39)のもと、短距離ダッシュなど約1時間半のメニュー。初日としてはハードな内容に驚く選手も多い中、MF太田吉彰(30)がダイナミックな走りで存在感をアピールした。

 スタートから新指揮官のムチが入った。MFマグリンチィ(27=セントラルコースト)ら新戦力も顔をそろえ、FWウイルソンとDF蜂須賀をのぞく25選手が参加した初練習。待っていたのは、予想外のハードメニューだった。インターバル走と8人1組でのボール回しを終えると、今度はゴールラインから反対側のペナルティーエリア付近まで往復でダッシュを繰り返す。最後は体幹トレーニングも行い、DF渡辺は「初日なので油断してた(笑い)。みんなキツかったと感じたと思う」と汗をぬぐった。

 険しい表情の周囲を横目に、圧倒的な脚力を見せつけたのが「馬」と呼ばれる男だった。太田は昨季リーグ戦全34試合に出場も2得点4アシスト。持ち味のスピードを生かせず不完全燃焼に終わっただけに「オフに陸上のコーチをたずねてフォーム改善の指導を受けたり、いいトレーニングができた」。先頭を切ってピッチの芝を蹴り上げる姿が、万全の状態で始動を迎えたことを物語っていた。

 3季ぶりに就任したフィジカルコーチは瞬発力強化に重点を置く方針で、太田にはピッタリだ。始動直前の自主トレ中には、クラブハウスを訪れたアーノルド監督から「クラークがいれば、おまえはもっと速くなる」と声をかけられたという。雪辱を誓う背番号11は「今年は午年なんでね。レベルアップして借りを返したい」。気合十分の初日の練習と同様に、まずは開幕ダッシュを決めてみせる。【鹿野雄太】