鹿児島キャンプ中のJ2磐田が5日、鴨池陸上競技場で京都と練習試合を行い、主力組が4-0と快勝した。エース前田遼一(32)が体調不良で不出場の中、1トップに抜てきされた日本人最年長のFW阿部吉朗(33)が攻守で走り回り2得点。チーム最年長のFWポポ(35)も個人技でゴールを決め、ベテラン勢が年齢を感じさせない動きで勝利に貢献した。守備陣も完封し、練習試合とはいえ結果を残し、着実に進化を積み重ねている。

 昨季J2で3位の京都を相手に、ベテランが躍動した。体調不良の前田に代わり1トップに起用された阿部、ポポ、キャプテンマークをつけた松井大輔(32)が前線で相手に激しくプレッシャーをかけボールを奪う。1本目の18分にはMF山田大記(25)のパスに反応した阿部がエリア内で仕掛けゴール。同20分にはポポが相手GKが前に出たすきを逃さず、ループのトラップでゴールを決めた。2本目の9分には松井が自身で獲得したPKを落ち着いて決め、同27分には再び阿部弾。4-0で快勝した。

 阿部は今季から、背番号を14に変えた。新人時代、東京でレギュラーに定着した時に付けていた番号だ。「初心に戻ろうと思った。最初と最後は14で締めようと。しっかり結果を残す覚悟です」。チームの日本人選手最年長のベテランは、果敢に裏に抜け出し走り回った。「おっさん、走ってやろうと思って(笑い)。大輔もポポも走るし、ポポが走れるのに走れないなんて言えない。年じゃないところを見せたい反骨心はありますね」と笑った。

 ポポも「年齢を重ねていることは経験があるということ。若手のようにガンガン走れなくても、最短距離でコースに入るとか、経験も大事。夏も走れますよ」と力強い。シャムスカ監督(48)は阿部の起用に「前の練習試合で阿部が後半から入ってゴールを決めたので、チャンスをと。しっかり結果を残してくれた」と合格点を与えた。

 快勝も、ゴール前の決定力、連係など上積みすべき点はある。松井がリーダーシップを発揮し、試合後など、すぐに感じたことを言い合う場ができているという。阿部も「去年に比べて。選手が自分で考えてのびのびやれている部分はある。松井を中心に、それぞれの意見をうまく取り入れながらやれている」と振り返る。1年でのJ1復帰に、ベテランが大きく貢献してくれそうだ。【岩田千代巳】