仙台DF二見宏志(21=阪南大)が、逆転開幕スタメンを狙う。宮崎・延岡キャンプ5日目の7日、実戦形式のメニューで守備組の左サイドバックに入って戦術理解に奮闘。鹿児島キャンプ不参加の出遅れを取り戻し、今日8日に迎えるJ2大分との練習試合でもアピールを誓う。

 合流から4日目にして、二見が非凡な守備力を見せた。攻撃組の右サイドバックの動きをケアしながら、中央への縦パスに鋭く反応。ゴール前への進入を許さない優れた危機察知能力に、アーノルド監督(50)も「フタミ、グッドボーイ」と評価。戦術面での理解不足は否めないが、本人は「監督は『そこまで焦るな』と声をかけてくれた。(出遅れは)言うてもしゃあないので、ここからです」と前だけを向いている。

 サッカーを始めた小1で守備に目覚めた。それからDFひと筋で「1対1で勝って、相手を交代させたら『バイバーイ』って感じで最高に気持ちいい」と笑う。高校、大学と進むにつれて「DF4人で協力して守るのも好き。FWにはない楽しさ」と“守りの美学”を追求してきた。昨年J1の3クラブからオファーを受けた際も「守備が強いチームに行ったら学ぶことも多い」と仙台を選んだ。

 ブレない芯の強さが、1度はあきらめたプロの道も切り開いた。小6でJクラブのジュニアユースを受験したが「技術があるほうじゃなかったし、C大阪と京都に1次で切られて、もう厳しいと思った」と振り返る。それでもDFとして生きていく覚悟は変わらなかった。相手を抑えるためのフィジカルやスタミナを鍛え続け、阪南大で素質が開花。昨年は強化指定選手として仙台のキャンプに参加し、8月のアウェー柏戦で後半41分からJ初出場を果たした。だが「ホンマのデビューは、まだしてないと思ってます」。名前どおりの背番号23を付けた二見が、仙台のピンチを救う日が来るはずだ。【鹿野雄太】

 ◆二見宏志(ふたみ・ひろし)1992年(平4)3月20日、大阪市生まれの奈良市育ち。鼓阪北小1年からFORZAFCでサッカーを始める。奈良育英高を経て阪南大に進み1年秋から公式戦出場。2年から全日本大学選抜入りし、4年夏はユニバーシアード日本代表として銅メダル獲得。家族は両親、姉、妹。179センチ、75キロ。血液型B。