ベガルタの守護神の座を争う2人が静かに闘志を燃やしている。仙台GK桜井繁(34)と関憲太郎(27)が宮崎・延岡キャンプ8日目の10日、実戦形式のメニューで持ち味をアピールした。今季は6シーズン正GKに君臨した林が広島へ移籍。アーノルド監督(50)と仲間の信頼を勝ち取り、1つしかないポジションをつかむため奮闘中だ。

 ベテランの桜井は、安定したセーブと的確なコーチングで守備陣を引っ張る。昨年まで2番手の立場でも、ひたむきに準備を続けてきた。移籍が決まった林と年末に食事に出かけた際、「サクさんなら大丈夫です。任せますよ」と後を託されたという。「どういう方法でチームがやっていくのか考えるだけ」と、桜井に気負いはない。

 関も身体能力と反応の速さでは負けない。177センチとGKにしては小柄だが、練習でも近距離のシュートに対する強さを発揮。前日9日のオフにはチームメートと宮崎の観光名所・高千穂峡へ。“パワースポット”といわれる大自然の中で英気を養い「実際に行ってみて感動した。縁起のいい場所と言われているし、結果的に試合に出られたら」と気持ちを新たにした。

 特長は違っても、胸の内は同じだ。J1での出場は桜井が1試合、関はプロ6年間でゼロ。ともにベンチを温める時期が続いただけに「周りの選手に安心感を与えたい」と口をそろえる。ここまでの練習試合3戦を見ても、GK争いは横一線の状態。切磋琢磨(せっさたくま)を続けてきた2人だが、互いに3月1日の開幕戦のスタメンを譲るつもりはない。【鹿野雄太】