<J1:横浜2-0大宮>◇第1節◇2日◇日産ス

 横浜の日本代表MF斎藤学(23)が、W杯イヤーのJリーグで幸先の良いスタートを切った。大宮との開幕戦で前半17分に切れ味鋭いドリブル突破から先制点につなげた。得点はなかったが勝利に貢献。今日3日にスタートするニュージーランド戦(5日、国立)に向けた代表合宿へ、視察に訪れたザッケローニ監督にもインパクトを与えた。

 斎藤が、大宮のDF陣を翻弄(ほんろう)した。前半17分。左サイドから中央へ。「自分で決めるつもりだった」。細かいタッチでスピードに乗り、4人をかわしゴールへとギアを上げていく。最後に相手DFの足がボールに伸びてきたが、前に出る攻撃性が勝った。こぼれ球は中央で待つ味方のもとへ。MF藤本がダイレクトで蹴り込み、先制ゴールが生まれた。

 「ハマのメッシ」の異名を取る最大の武器、ドリブルからの実質的“アシスト”だった。ゼロックス杯、ACL初戦とゴールがなく公式戦2連敗中のチームを救うワンプレー。「自分のいい形がやっと出た。自分で決められなかったことは反省ですけど、勝たなければいけなかったので」。公式戦3連敗を阻止。気持ち良く代表に合流できる流れを自ら作った。

 斎藤は「知らなかった」というが、スタンドではザッケローニ監督が視察していた。同監督と会話しながら観戦したという日本協会の強化トップ、原専務理事は「マナブは良かったんじゃないですか。動きはいいと思いますよ」と評価した。ニュージーランド戦はW杯最終メンバー発表前、最後の代表戦。「練習からしっかりアピールして少しでも出場時間をもらえるように」。代表モードに切り替えた。

 スタンドでは、この冬の移籍期間でも獲得に動いたウォルフスブルクのスカウト職も務めるリトバルスキー氏が動きを追っていた。「斎藤はいいプレーをしていた」と言い、今夏の移籍期間まで引き続き注視していくとした。W杯代表入りも欧州移籍も、斎藤にはそのドリブルで切り開く力がある。開幕戦でいきなり証明してみせた。【八反誠】