自ら祝砲を上げる!

 川崎Fは21日、今日22日のACL1次リーグ最終戦となる蔚山現代(韓国)戦に備え、会場の等々力陸上競技場で公式練習に臨んだ。FW大久保嘉人(31)が体調不良で欠場する可能性が出る中、日本代表候補のFW小林悠(26)が期待を背負って先発する。引き分け以上で決勝トーナメント進出(各組2チーム計16チーム)が決まる一戦で、生まれたばかりの愛息への「ゆりかごダンス」を誓った。

 小雨の降るピッチで、小林の笑みがはじけた。冒頭15分のみ公開された練習では、軽快にボールをトラップするなどして体を動かし、大一番に備えた。左内転筋痛から約3週間ぶりに実戦復帰したリーグ浦和戦から中2日。「浦和戦で試合勘はつかめた。いつも通りやってチームの勝利に貢献したい」と淡々と話した。

 Jリーグで開幕から5戦4得点の決定力を買われ、今月上旬の日本代表候補合宿に初招集された。しかしメンバー発表から2日後の5日の練習中、以前から痛めていた左内転筋を悪化させ、失意の辞退となった。一方で、気持ちが奮い立つ出来事があった。代表合宿に参加していたはずの9日、夫人が第1子となる長男結翔(ゆいと)君を出産。リハビリ中の小林は病院で出産に立ち会うことができた。「つわりや陣痛などで頑張ってくれた妻に本当に感謝したい」。

 チームメートからは、試合で得点した際にゆりかごダンス披露を提案されたが、小林はあえて断った。「自分で決めて祝いたい」。15日のACL貴州人和戦ではMF中村がゴールを決めて勝利したが、仲間たちは約束を守り、何のパフォーマンスもしなかった。小林は「明日は決めて、できればいいですね」と今日のダンス披露を誓った。

 FW大久保が体調不良で欠場する可能性がある分、小林に得点源としての期待がかかる。合宿は辞退したが、日本代表候補には変わりはない。同じFWの柿谷(C大阪)、川又(新潟)が不調の中、5月12日のW杯メンバー発表までの成績次第では、大逆転選出の望みはつながる。「川崎で結果を残すこと。明日はボールを長い時間持てると思うし、チャンスもたくさんあると思う」。自らの祝砲で新たなスタートを切りたい。【由本裕貴】

 ◆小林悠(こばやし・ゆう)1987年(昭62)9月23日生まれ、東京都町田市出身。町田JFCジュニアユース-神奈川・麻布大淵野辺高-拓大。大学時代に特別指定選手としてJ2水戸でプレー。10年に川崎F入団。J1通算93試合27得点。177センチ、70キロ。