<ACL:ウエスタンシドニー2-0広島>◇決勝トーナメント1回戦第2戦◇14日◇オーストラリア・パラマッタスタジアム

 8強を置き土産に北の大地へ。6月に札幌入りするウエスタンシドニーの元日本代表MF小野伸二(34)が、広島との第2戦にトップ下で先発フル出場。全2得点に絡む活躍で、チームを逆転での1回戦突破に導いた。ウエスタンシドニー所属として最後の公式戦で天才的な攻撃センスを見せた。得点力不足に苦しむ札幌には、大きな戦力になりそうだ。オフを挟み6月上旬に合流し、札幌市内で加入会見を行う。

 小野の輝きは健在だった。アウェーでは1-3で敗戦も、ホームで迎えたウエスタンシドニーでのラストマッチは勝利。アウェー得点数で広島を上回り、ACL初8強という結果をもたらした。最高の手土産を地元サポーターに残し「(ファンに)いい思い出をつくれたことが良かった」と笑顔で振り返った。

 柔らかい2本のキックと高い戦術眼でJ1王者を攻略した。0-0の後半10分、右サイドを抜け、ゴールラインぎりぎりからクロスを上げると、こぼれ球を最後はコールが押し込み、先制点。この時点で、合計スコアは2-3。ベテラン34歳は攻めの手を休めなかった。

 同40分、左サイドからふわりと浮かしたボールをゴール前に入れると、DFのクリアボールをサンタラブが蹴りこみ2点目。合計3-3となり、アウェーで1得点を挙げているウエスタンシドニーが広島を逆転した。有終の美を飾り「僕がチームを信じ、みんなが自分たちを信じた結果。次のラウンドも勝ち上がってほしい」と後を託した。

 南半球で全力を尽くし、今度は北の大地でJ1昇格を目指す。6月の合流後、登録の都合で7月20日の大分戦まで1カ月以上、公式戦に出られないが、天才的なサッカーセンスは練習に加わるだけで効果が期待できる。現在、札幌は5戦勝ちなしで16位と低迷。得点も13試合で11点と1試合平均1点を割った。「僕の新しいチャレンジが始まる」。もがく札幌にオランダ、ドイツ、オーストラリア、そしてW杯3大会で培った経験と技が注入される。