<J1:川崎F2-1浦和>◇第19節◇9日◇等々力

 これぞエースの仕事だ!

 3位川崎FのFW大久保嘉人(32)が4試合ぶりのゴールを決め、2位浦和との上位対決を制した。1-1の後半33分、中央やや右、ペナルティーエリア外から右足アウトサイドでゴール左を射貫いた。「狙い通り。力が入っていなかったので、ちょうどよかった」。仕事を果たし、思わず笑みがこぼれた。

 勝負を決めたのは一流の技だった。ボールを受ける瞬間、マークに付いたDFを外して、冷静にシュートを打つ間をつくった。風間監督も「DFからスッと離れて憲剛(中村)に合図を出した。そこは選手たちの技術だな」。アシストの中村も「嘉人はコンディションさえ整っていれば点は取ってくれる」と称賛した。

 今季はW杯のフル稼働もあり、疲労が蓄積。2日の柏戦後に体調不良を訴え、4日間の休養を与えられた。血液検査の結果、赤血球の数が減少。本来は魚派だが、赤血球を増やすために「肉って言ったらステーキでしょ」と努めて肉を食べた。ホーム戦ではマン・オブ・ザ・マッチにあたる「あんたが大将」が選出されるが、この日の賞品は函館大沼牛10キロ。「狙いますよ」と宣言した賞品はFWレナトにさらわれた。それでも「今日は前半から体が動いた。まだ60%だけど、やりながら治せばいい」と満足感を漂わせた。

 単独トップの11点目。明日11日には日本代表のアギーレ新監督が来日する。「チームで結果を出せば選ばれる。それが代表」。混戦模様、嵐のJ1にあって、大久保が台風の目となりそうな気配だ。【桑原亮】