J2札幌が28日、財前恵一監督(46)から、元愛媛監督でクロアチア人のイビッツァ・バルバリッチ氏(52)に交代することを発表した。札幌は今季、自動昇格圏の2位以内を目標としていたが現在、9勝8分け11敗の勝ち点35で13位。最近5試合勝ちがなく(1分け4敗)、指揮官交代で、残り14試合での巻き返しを図る。同氏は9月上旬に来日予定で、不在の間は暫定的に名塚善寛コーチ(44)が指揮を執る。

 札幌が監督交代で、反転攻勢に出る。この日、札幌宮の沢での練習は財前監督不在でスタート。名塚コーチら、コーチ陣の指導の下、新体制に向けたリスタートを切った。新任のバルバリッチ氏は9月上旬の来日を予定しており、ビザ取得など書類上の手続きが済み次第、ベンチ入りすることになる。早ければ同14日の岐阜戦が新監督初戦になる。S級指導者不在となる31日の次節熊本戦以降は、Jリーグの許可を受け、名塚コーチが特例で指揮を執る。

 同氏は現役時代の88年に旧ユーゴスラビア代表として、イビチャ・オシム監督の指導を受け、ソウル五輪に出場。三上大勝GM(43)は「攻撃的なサッカーを継続しながら、勝つためのメンタルの強さを植え付けられる指導者を考えた」と説明した。日本代表アギーレ監督同様、激情家。クラブでは財前監督による若手育成や、パスをつなぐサッカーへの取り組みは評価も、昇格を現実的に目指すため、03年以来11年ぶりとなるシーズン中の監督交代に打って出た。

 今季は自動昇格圏内の2位を目標に掲げるも、4月26日岡山戦から5月18日千葉戦まで6戦勝ちなし(2分け4敗)。一時は「今後の試合内容を見ながら考えたい」と監督の交代を視野に入れたが、次の同25日の水戸戦で4-0と快勝した。その後も、6月21日富山戦から3連勝するなど上向きかけたが、7月30日の横浜FC戦から4連敗。ドローに終わった前節栃木戦までの内容を総合的に考慮し、最終的に断を下した。11年ぶりの外国人監督の下、精神面から立て直す。

 バルバリッチ氏は、今シーズン残り3カ月、14試合の契約となり、来季以降は成績次第で延長も含め交渉していく。愛媛時代にはFW内村、MF石井を指導。今後は、チーム全選手の特長を見極めながら、短期間で「勝つチーム」へのてこ入れを行う。

 ◆イビッツァ・バルバリッチ

 1962年2月23日、クロアチア生まれ。現役時代はDFとして、旧ユーゴスラビアのヴェレージュなどでプレーし、88年に旧ユーゴスラビア代表。イビチャ・オシム監督の下、同年のソウル五輪に出場。97年のアルメリア(スペイン)を最後に引退。同年から指導者の道を歩み、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表コーチなどを歴任し、09年途中から12年までJ2愛媛を指揮。

 ◆札幌監督の途中解任

 98年10月にフェルナンデス監督が解任され、石井肇コーチが監督昇格。02年6月に柱谷哲二監督が解任され、イバンチェビッチ監督が就任。同監督も9月に解任。03年8月にジョアン・カルロス監督が解任。