勝って新体制に弾みつける!

 J2札幌は29日、札幌・宮の沢で名塚善寛コーチ(44)を中心に紅白戦を行った。バルバリッチ新監督(52)がベンチ入りするまで臨時に指揮を執る同コーチは「結果が求められている。今、戦えるメンバーを選ぶ」と方針を掲げた。前日28日の財前監督解任に、選手も責任を痛感。明日31日の熊本戦で6戦ぶり勝利を挙げ、立て直しの1歩を踏み出す。

 責任を取った財前前監督の思いを背負い、勝ちにいく。この日、札幌・宮の沢のグラウンドに立ったスタッフ、選手全員が、強い自責の念を胸にボールを追っていた。前日28日に、財前監督が解任された。コーチ陣は、同監督の意向もあり、全員留任となった。監督1人がチームを去り、バルバリッチ新体制に移行することが決まった。

 河合主将は「ピッチでプレーしているのは選手だし、志半ばで監督が辞めることになったのは自分たちのせい」と言った。最近5試合1分け4敗。結果が出なかったことが、最終的な解任への判断材料となった。残ったスタッフ、選手たちにとって、監督交代のショック療法を、勝利につなげることがステップアップへの1歩となる。

 勝つために、とにかく点を取ることが求められている。7月30日横浜FC戦から5試合450分で2ゴール。17日山形戦の内村の得点は相手バックパスを奪ってのもので、前節栃木戦の上原慎のミドルシュートでの得点は、ほぼ個人能力によるもの。崩してゴールまで至る動きが不足しており、名塚コーチは「短い期間だが、ゴールを目指す、前への意識付けの部分は変えられる。変えられる部分から変えたい」と、暫定体制での柱を掲げた。

 バルバリッチ新監督の具体的な指導方針は、9月の来日後、スタッフミーティングで説明し、同6日の長崎戦から反映される。明日31日の熊本戦が、1年半の財前体制で築いたサッカーを示す事実上、最後の機会となる。最年長のMF砂川誠(37)は「財前監督に申し訳ない。J1昇格に向け、次は必ず勝ち点3を取ってくるという目標がある」と言った。任を解かれた指揮官へ、最後の1勝を贈り、新体制での巻き返しにつなげる。【永野高輔】