日本代表の東京FW武藤嘉紀(22)が観客を呼び込む。今日13日の神戸戦(味スタ)に向けて12日、東京・小平市内で行われた非公開練習で調整した。平均を大きく割れ、苦戦していたチケット売り上げは、武藤効果とクラブの草の根作戦で右肩上がりに急上昇。さらに、クラブはファンのニーズに応えるために、武藤の個人グッズを増販したことも明らかになった。

 居残りでシュートを確認し、最後はランニングで終えた。前日練習を終えた武藤は「代表から戻ってきてもチームで結果を残さないと意味がない。チームに貢献できるプレーをしたい」とはつらつと話した。午前中には美容室へ行き、髪を短くカット。さわやかさに精悍(せいかん)さも増していた。ゴールという結果でチームを勝利に導く前に、早くもクラブに貢献していたことが明らかになった。

 週中には多く見積もっても1万4000枚だったチケット売り上げが、急上昇しており2万枚に届く可能性が出てきた。販売速報でも如実に表れているが、クラブ側の努力もある。8月下旬に音楽フェス「a-nation」が開催された味スタに出向き、これまでにないファン層を取り込もうと草の根活動を行ってきた。加えて武藤の代表での活躍が後押しし、クラブ側にはこれまで購入したことのない女性層から、購入方法の問い合わせもあるという。クラブ幹部は「武藤選手だけで3000、4000枚は増えている」と明かす。

 そんな武藤を中心に吹く追い風に乗って、武藤グッズの増販も決まった。ユニホームなど個人選手のグッズをシーズン中に増販することは異例。ファンのニーズに応えようと、神戸戦含めて今月だけで3試合あるホーム戦に備える。ファン層拡大に一役買う武藤は、練習後のファンサービスでの反応でも実感しており「これだけ期待していただいているので、味スタで結果を出して順位を上げていきたい」と応えるつもりだ。

 代表入り後、8月31日のオフを最後に今日の神戸戦で13連勤が確定。「だいぶ疲れていますね…。でもそうやって成長していけると思っている」といつもと変わらずに対応。10戦連続負けなしの東京をけん引していく。【栗田成芳】