<データが語るJリーグ>

 G大阪FW宇佐美貴史(22)のシュートレンジの広さが光る。今季はJ1得点ランク10位タイの7ゴールを挙げているが、ペナルティーエリア(PA)外からの得点に限れば3点で、こちらは川崎FのFW大久保と並びトップ(直接FK除く)。ナビスコ杯の4得点も半分の2点がPA外からと、ロングシュートがさえている。

 特筆すべきはその正確さ。PA外からの18本のシュートのうち枠に飛んだのは11本。枠内シュート率は61%で、J1平均の19%を大きく上回る。遠めからでもバーの上へ大きく外すようなことは少なく、グラウンダー気味の抑えの利いた弾道が目立つ。前節13日の広島戦で決めたエリア外からのシュートは象徴的だ。

 ここまで高精度だと、相手DFも警戒して前に出てくる。そうなれば、相手を引きつけた上で、その背後に生まれたスペースにパスを送り込むこともできる。状況によっては守備網のほころびを縫うような得意のドリブルもさく裂する。射程の広さが、攻撃の選択肢増につながっている。

 今季は開幕前に左足を手術し出遅れたが、W杯中断明けからリーグ9戦6発と量産。エースの躍動とともに、一時は降格圏の16位に沈んでいたチームも5位に急浮上だ。【石川秀和】