<J1:東京4-0徳島>◇第25節◇23日◇味スタ

 日本代表の東京FW武藤嘉紀(22)が、史上4人目の新人2桁得点に王手をかけた。徳島に2点リードの後半32分。カウンターからFW河野がドリブルで持ち込んだ。「絶対にいいスルーパスがくると信じて走った」。センターバック2人の間を抜け、ボールを受けると相手GKに向かってドリブルを開始。3タッチ目で左に角度をつけると4タッチ目で置き去り。5タッチ目の左シュートでダメ押し弾を決めた。

 今季9得点はこの日、唯一のシュート。だが「シュートを打てばいいというより、決められるシュートを磨いていかないといけない」と言ってのける。序盤から警戒する徳島守備陣は人数をかけて守り、ボールが入ると囲まれたが「裏のスペースはなかったけど、後半には空いてくると思った。だから前半は守備で頑張ろうと」。前半途中に東京応援スタンドから起こった「シュート打て」コールにも冷静だった。

 日々、繰り広げられる“代表戦”が武藤をさらに成長させている。DF森重とは練習で何度もマッチアップ。18日の練習では競り合いから首を痛めたが「代表のレギュラーの当たりはやっぱり違う」と実感。森重も「『まだアイツ(武藤)にはやられねー』って思いますよ」。実戦さながらの代表対決が武藤のレベルをさらに押し上げる。

 代表合宿後の初ゴールに、表情が和らぐ。「だいぶプレッシャーもあったけど、今日ゴールを決めてまた肩の荷が下りた」。チームはクラブ新記録の13戦連続不敗で6位浮上。新秋の逆襲で、台風の目となり上昇していく。【栗田成芳】