<J2:東京V0-0湘南>◇第36節◇11日◇味スタ

 湘南が、引き分けでJリーグ「初優勝」を決めた。東京Vの勢いに押されて苦しんだが、守備陣が今季21試合目の完封。勝ち点を89と伸ばし、93年にJFL1部で優勝して以来21年ぶりにリーグ戦を制した。6試合を残しての優勝決定は、42試合制では08年の広島と並ぶ最速タイ。約4000人のサポーターの前で、チョウ・キジェ監督(45)が宙を舞った。

 笑顔はなかった。20位の東京Vに押された。決定的な場面を何度も作られた。守備陣の奮闘で完封こそしたが、得点もなし。「勝ちたかった」。チョウ監督や選手たちは声をそろえた。それでも、優勝は格別。胴上げされたチョウ監督は「今日の試合は勝てなかったけれど、優勝は1年間の積み重ね」と話した。さらに「選手が喜んでいない。そのこと自体が成長」と続けた。

 試合前、チョウ監督は「あえて選手にプレッシャーをかけた」という。過去J1、J2で優勝経験があるのは18クラブだけ。その価値を説いた。「硬くなってチグハグしたけれど、勝ち点1がとれたのは良かった」と振り返った。MF永木主将は「もっとレベルアップしないと」と話し、MF菊池は「点がとれなかったのは課題」と話す。今の湘南は優勝にも満足しない。

 チョウ監督は今季、具体的な数字を次々と提示して選手のモチベーションを高めてきた。最多勝ち点、最多完封、最少失点、クリアを狙う記録は多い。DF遠藤は「優勝しても変わらない。気を引き締めて、残りも今まで通りに」と、J1の来季を目指して話した。【荻島弘一】<湘南が狙うJ2記録>

 ◆最多勝ち点

 36試合で89、このペースなら今季と同じ42試合だった08年広島の100を抜く勢い。年間最多記録は51試合だった09年仙台の106。

 ◆連続負けなし

 5月24日の15節に愛媛にアウェーで敗れて以来無敗。現在21試合連続で、12年甲府の最多記録24まであと3試合。

 ◆勝率

 27勝8分け1敗で0・964。過去最高の10年柏の0・920(23勝11分け2敗)を上回る。

 ◆最少失点

 36試合で失点は18。1試合あたり0・5で、00年札幌の0・55を上回っている。

 ◆最多完封

 現在21試合で、06年横浜FCが記録した25試合にあと4と迫る。