走力と闘争心で最下位クラブを圧倒する。J2札幌バルバリッチ監督(52)が18日、今日19日のアウェー富山戦での勝利へ向け、1対1の勝負へのこだわりと、相手に負けない走力を、テーマに掲げた。相手は現在最下位。札幌は今季、対戦時点で18位以下の下位5チームとの9試合で、わずか2勝しか挙げていない。徹底した「ハードワーク」で確実に下位を倒し、プレーオフ圏との勝ち点差を縮める。

 バルバリッチ監督が、戦いの根本理念に立ち返って、3戦ぶり勝ち点3をつかむ。「フィールド選手10人のうち1人でもサボったら穴ができる。最後まで粘り強く、ハードワークすることが大事」。球際で激しく、最後まで走り抜くバルバリッチ流バトルサッカーで、2戦勝ち無しと停滞するムードを吹き飛ばす。

 相手が最下位だからこそ警戒する。「最下位相手の試合は難しい。すべてを出し切らなければ勝つのは難しい」と注意を促した。札幌は今季、6月7日に21位の讃岐に敗れ、バルバリッチ監督就任後も、9月20日に当時19位の群馬に0-3と敗れた。残り6戦の中には、22位富山、20位東京V、21位讃岐と下位チームが控える半面、1位湘南、3位磐田との対戦も残す。プレーオフ圏入りのため、まずは下位への苦手意識をなくし、上位勢との対戦に集中できる体制を整える。

 指揮官の持論がある。J2では愛媛時代を含め5シーズン目。札幌就任後も既に6チームと対戦し、ある答えを導き出した。「素早いプレスを生かす湘南や、セットプレーのうまい松本のように特長あるクラブはあるが、他の70%のチームは、どちらが勝ってもおかしくない。だから最後まで走れて、球際で粘れたチームが最後は勝つ」。相対的に分析した結果、今の札幌は、最下位相手でも100%の力を出せなければ敗れる可能性があることを選手に伝え、自覚させた。

 「最下位といえども90分集中して、自分たちのやることをまっとうすること。根本的な球際の競り合いで負けないこと。そしてどこまで自分たちが走れるか」とMF宮沢。富山の次は、圧倒的な強さで優勝を決めた湘南戦が控える。まずは確実に富山に勝ち、ホームでの王者討ちにつなげる。【永野高輔】

 ◆札幌の下位クラブとの対戦

 今季、前節までの順位で18位以下の下位5チームとの対戦は9度あり、2勝2分け5敗の勝率2割2分と、取りこぼしが多い。6月7日の21位讃岐戦では0-1で敗れ、讃岐にJ参入後初の完封勝利を献上。7月30日の18位横浜FC戦も0-1で敗戦、9月20日の19位群馬戦では0-3で完敗している。