<J2:熊本0-0磐田>◇第37節◇19日◇うまスタ

 3位J2磐田は熊本と引き分け、天国に勝ち点3を届けられなかった。17日に沖縄・宮古島での交通事故で亡くなった元日本代表の奥大介さん(享年38)がプロ入りの94年から8年間在籍したクラブ。選手は腕に喪章をつけ、ベンチには奥さんが現役時代につけた背番号8。試合前、ともに黄金期を支えた名波浩監督(41)は、ユニホームにそっとおでこを当てた。約5秒間。「覚えてないです」と濁したが、静かに祈りをささげていた。

 同じく喪章をつけた横浜FC、J1横浜はともに勝利し「勝てる条件はそろったぞ」と選手を鼓舞した。思いは伝わっていた。現在背番号8のMFペクは「韓国でも有名な人。やってやろうという気持ちは強かった」。後半22分から出場し、ドリブルで仕掛けて好機を演出するなど気を吐いた。だが、1点が遠かった。

 九州の地が鬼門だった。アウェーでは北九州、福岡、大分に敗戦。長崎とは引き分け。今季最後の九州勢を相手に、ジンクスを破れなかった。指揮官は「彼の功績を汚さないためにも勝ちたかった。悔しい」。2位松本も引き分け、残り5試合で勝ち点差は8のまま。「誰が見ても厳しい状況。また1戦1戦、勝ち点3をめざしたい」。その目に、もう涙はなかった。【桑原亮】