今日8日のナビスコ杯決勝で対戦するG大阪と広島は7日、決戦の舞台となる埼玉スタジアムで公式練習と会見を行った。

 「あ、自分の出番はなくなった」。広島FW佐藤寿人(32)はあの日、ピッチの外にいた。10年11月3日、ナビスコ杯決勝の磐田戦。右肩脱臼からの復帰直後でベンチスタート。後半33分、MFミキッチに代わりDF横竹(現J2鳥取)が入った。2-1のリードを守りきる3人目の交代だった。しかし終了間際にFW前田の同点弾を浴びて、延長の末に3-5で敗れた。「もう出られない、と思ったら同点、逆転されて…。一緒に戦えない悔しさを感じた」。4年ぶり2度目の決勝は、エースFWにとって初出場の舞台だ。

 悔しさを晴らす絶好の機会だ。同杯では中山、ジュニーニョと並ぶ歴代最多の26点。自分でパソコンで使って調べたほどこだわりがある。18歳の時には同杯の00年4月12日大分戦で公式戦プロ初ゴール。「最初のシュートが左足で入った。それが自信になった」。Jリーグ11年連続2桁得点の佐藤にとって原点ともいえる大会だ。

 この日の練習では変則のミニゲームで開始1分にゴールした。G大阪FW宇佐美について「曜一朗(バーゼルFW柿谷)のように何でもできる。貴史は今すぐにでも代表に入るべき選手」という。ただ生粋のストライカーとして主役は譲らない。「今は最多タイなので、自分の名前だけが(ランキングの)上にくるように。決勝で決めたい。MVPを取りたい」。得点の新記録を樹立して、広島の大会初優勝を実現させる。【益田一弘】