因縁の古巣を倒して残留争いを勝ち抜く。仙台DF上本大海(32)が、22日のホームC大阪戦で完全復活を証明する。2年前のユアスタでの対戦で右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し、2度の手術を乗り越えて今年8月16日に復帰。12試合連続フル出場で再び不動の地位を築いたセンターバックは、並々ならぬ決意で大一番に臨む。

 苦しんだ2年間の思いを、すべてぶつける。20日の練習は、ユアスタで冒頭15分のみの公開。上本はウオーミングアップの1つ1つで入念に芝の感触を確かめた。「あの時の痛みは忘れることはない。今でも思い出して切なくなる時はあるよ」。10年から2シーズン在籍した古巣との対戦は、大ケガを負った12年11月7日以来。「お互いに残留を争う状況で戦う悔しさはあるけど、勝負になったらやるしかない」と闘志を燃やした。

 悪夢は自ら振り払う。2年前は優勝争いに踏みとどまるためにも負けられない試合だった。先発した上本に悲劇が起きたのは0-1の後半26分だった。相手ベンチの目の前で右膝を抱えて倒れ込み、自らバツ印を出してピッチを退いた。終了間際に引き分けに持ち込んだが「みんなが勝ち点1を取ってくれたけど、俺は力を加えられなかった」。最終的に優勝を逃した責任は、今でも感じている。状況は違えど、今度は自分が最終ラインでチームを支えてJ1残留へ導くことしか考えていない。

 C大阪はW杯出場経験のある元ウルグアイ代表FWフォルランや元ドイツ代表FWカカウ、19歳で日本代表候補に選ばれたFW南野ら攻撃陣にタレントがそろっている。相手が強力であるほど燃える男は「2年間でやってきたことを、古巣相手に表現したい」と力強く言った。長く険しかった復活までの道のりの中に、確かな成長があったことを証明する。【鹿野雄太】