<J1:浦和0-2G大阪>◇第32節◇22日◇埼玉

 首位の浦和は勝ちに行って負けた。スコアレスドローのムードが漂う後半43分。MF柏木陽介(26)のFKがはね返されるとカウンターを食らう。MF関根が寄せ切れずにいると、G大阪FW佐藤の上がりをDF森脇がつかまえきれずに痛恨の失点。ロスタイムには2点目を決められ勝負あった。

 ここで優勝を決めるはずが、尻に火が付く勝ち点2差となった。普段は真っ先に取材エリアに出て来る柏木は、目を赤くしていた。気持ちを落ち着けてから淡々と答えた。「ここで決めたかった。内容は悪くなかったけど、最後だけ勝ちに行く気持ちを出しすぎた。今日と明日だけは落ち込んでから切り替えたい」と言ったものの、敗戦ショックを引きずっていた。

 今季最多の5万6758人。8年ぶりの優勝を決めるための舞台は整っていた。失点直前のFKでは、DF那須大亮(33)、槙野らが上がり決勝点を奪いにかかった。那須は「ピンチらしいピンチは少なくて、失点するならカウンターかと思っていた」と言った。最も注意していた形でやられた。なんとしてもここで決めると、勝ちたい気持ちが出すぎたところを狙われた。

 試合前には、サプライズ演出もあった。選手には内緒で、クラブスタッフが選手の家族らにメッセージ動画を送ってもらい編集。なんとしても決めるため、気持ちを高め一丸となっていた。引き分けで勝ち点1を上積みし、次節以降に持ち越す選択肢はなかった。埼玉スタジアムではビールかけの準備もしていたが、持ち越しとなった。

 昨季は残り3試合で3連敗。しかも次節のアウェー鳥栖は、昨季の33節でも対戦し、敗れて優勝が消滅した地だ。それでも残り2試合に連勝すれば優勝という優位は変わらず、次節で優勝が決まる可能性もある。連勝で決めるのか、それとも悪夢のような逆転劇を食らうのか。浦和の胆力が試される。【高橋悟史】

 ◆優勝の行方

 首位の浦和は2位のG大阪に敗れ、優勝決定は次節以降に持ち越しとなった。浦和は勝ち点61のままで、59に伸ばしたG大阪との差は2に縮まった。3位の鹿島は勝って57、4位の鳥栖も56に伸ばし、ともに逆転優勝の可能性を残した。ただ、次節29日に浦和が鳥栖に勝ち、G大阪が神戸に引き分け以下なら、残り1試合で勝ち点4差以上となり、浦和の優勝が決まる。浦和が引き分けてG大阪が勝つと勝ち点62で並ぶが、得失点差で浦和がプラス21のまま、G大阪がプラス27以上となり、G大阪が逆転で首位に立つ。