優勝へエゴ全開だ!

 残り2試合となったJ1はきょう29日に第33節が行われ、首位浦和は4位鳥栖(ベアスタ)と対戦。負傷の興梠慎三に代わり1トップに入るFW李忠成(28)が、エゴイスト宣言した。チームはここ5試合は1勝2敗2分けで、得点はわずか4点にとどまる。李もここ2戦はフル出場しながら、得点どころかシュートもゼロ。停滞ムードを一掃すべく「流れを変えるのは俺しかいない」と気を吐いた。

 試合前日練習の紅白戦は、李のゴールで終わった。ペトロビッチ監督から「ラストゴール」の声がかかってから約5分後、豪快な左足ミドルを決めてはずみをつけた。言葉にも歯切れの良さが戻ってきた。

 「シュートを打ちたい。とにかくシュート。ほかの誰かが決めればいいと思っていたから、チャンスがあればパスしていた。強引にでも自分が狙いたい。流れを変えるのは俺しかいない」。取材を受ける横を通りすぎるDF槙野から「おお、変えてくれ」とちゃかされると、笑いながら「槙野みたいに口だけじゃダメだから」と返した。

 10月26日の鹿島戦で興梠が右腓骨(ひこつ)を骨折後、横浜戦、G大阪戦と2試合連続でフル出場したが無得点。さらにはシュートもゼロ。チーム全体でも2試合連続で8本と、横浜とG大阪が打った12本よりも少ない。2試合でポストプレーヤーに専念した李は責任を感じていた。「指示ではなく自分の判断で」とチーム全体のことを考えての動きだった。だが横浜戦には勝てても、前節は負けた。天王山で敗れた悔しさとともに、不完全燃焼という気持ちが残った。

 アウェーで過去2年連続して敗れている鳥栖が相手だが、今季加入の李には「関係ない」。気迫をみなぎらせる一方で「引き分けじゃだめだけど、それくらいでもいいという余裕を持ってやりたい」といれ込む様子はない。

 広島時代の10年11月の新潟戦。ハーフウエーライン付近でパスを受けるとドリブルで駆け上がった。DF1人を股抜きでかわし、もう1人のDFに突き飛ばされながらループシュートを決めた。当時のような強引さ、そしてストライカーとしてゴールへの色気をにじませる。得失点差を考えれば引き分けも許されない。勝つために求められるゴール。李が決めるしかない。【高橋悟史】