3冠を狙うG大阪のエースFW宇佐美貴史(22)が“お得意様”から逆王手弾を決める。今日29日の神戸戦に向け、28日は大阪・万博練習場で非公開調整。宇佐美はプロ入りから神戸には全試合でゴールを挙げるなど、公式戦7戦9発と絶対の自信を持つ。首位浦和次第では05年以来のリーグ制覇に王手がかかる本拠地最終戦で、再び歓喜の1発をたたき込む。

 G大阪が宇佐美弾で「逆王手」をかける。本拠地最終戦に向けた非公開調整を終えると、集まった20人以上の報道陣に囲まれた。22歳のエースは、憎らしいほどの自信を漂わせながら、迷わずにこう言った。

 「警戒される方がやりやすいっすね。相手に警戒されることに、何ら(違和感を)感じることはないですから。一番警戒されるでしょうけれど、それをかいくぐればいいだけなんで」

 それもそのはずだ。プロ入り後から、出場した神戸戦全試合でゴールを決めている。公式戦7戦9発。それだけに止まらず、将来を期待されたユース時代や、練習試合でも圧倒してきた自負もある。前節22日に首位浦和との直接対決に勝ち、残り2戦で勝ち点2差。今節で神戸に勝ち、浦和が鳥栖に引き分け以下なら、G大阪に逆王手がかかる。「気持ち良く勝って、優勝の可能性を大きくしたい」。相手はお得意様の神戸。さらに12月6日の最終節は最下位徳島。大逆転Vへの予感は、高まってくる。

 いい緊張感もある。「お前、あんなゴールで満足してんじゃね~だろうな!」。兄貴分のDF岩下から、たしなめられた。26日の天皇杯清水戦で、公式戦8戦ぶりゴールを含む2得点。だが1点目は完全な相手GKのミスから奪ったもの。浮かれそうになっても、くぎを刺してくれる先輩の存在が、また宇佐美を成長へ導いてくれる。

 チームは既にナビスコ杯を制覇、天皇杯も決勝進出。00年度鹿島以来、史上2クラブ目の3冠へ。宇佐美のゴールが、G大阪に歓喜をもたらす。【益子浩一】