仙台が今日29日、徳島とのホーム最終戦で残留を決める。勝てば15位以上確定の可能性がある一戦を前に、渡辺晋監督(41)はミーティングで初めて「残留」の2文字を口にした。あらためて明確な目標を確認し合い、一丸となって勝ち点3を奪いに行く。

 胸の内に秘めていた“禁句”を、勝利への執念を伝えるメッセージに変えた。前節C大阪戦は2度のリードを守りきれず痛恨の引き分け。降格圏との勝ち点差を広げられずに残り2試合となったところで、渡辺監督は「連勝して絶対に自力で残留を決めよう」とミーティングで気合を入れ直した。初めて口にした「残留」の2文字。「最後まで言わずに(残留を)決めたかったが、より目標を明確にして戦う」。徳島戦にかける強い決意の表れだった。

 現役時代の03年に仙台でJ2降格を味わった指揮官は、選手に重圧がかからないように言動に注意してきた。10月26日の柏戦で敗れてから16位と勝ち点2差の状況が続いても、強調したのは「一戦必勝」。報道陣から「残留争いが…」と問いかけられても「なんとか争い?

 周りはそう言うけどね」と言葉を選んで返答していた。残り2試合で封印を解いたのは、前節でC大阪が希望を捨てずに向かってきた気迫を、あらためて自分のチームにも植え付けたかったからだ。

 エース助っ人不在の危機も一丸で乗り切る。左膝の負傷から復帰したばかりのFWウイルソンが、26日に足の指を痛めて再離脱。28日の練習も回避した。代役での先発が濃厚なFW武藤は「監督の言葉でみんなの心は1つになったし、結果を出して貢献したい」。最近5試合ベンチスタートが続いた主将のDF角田もセットプレー練習で主力組に入る時間が増え、先発起用される可能性が浮上。闘魂を注入した仙台が、ホーム最終戦で残留争いにピリオドを打つ。【鹿野雄太】

 ◆仙台の今節での残留確定条件

 徳島に勝利すると勝ち点38。16位大宮が名古屋に引き分け以下だと5差以上に開き、17位C大阪が鹿島に勝っても4差あるため、最終節を待たずに残留が決まる。仙台が引き分けても大宮が負け、C大阪がドロー以下で15位以上が決定。敗れた場合は最終節に持ち越しとなる。