<Jリーグアウォーズ>◇9日◇横浜

 得点王は2年連続で、川崎FのFW大久保嘉人(32)が獲得した。

 単独での2年連続得点王の味は、ひと味違った。大久保は、腫れた左手でゴールデンシューズトロフィーの重さを受け止めながら、喜びをかみしめた。「去年は単純にうれしかった。今回は、プレッシャーがありながらの得点王。ホッとしたし、また自信になった」。6日の最終節神戸戦の前半5分に左手を初めて骨折した。脂汗を流しながら強行出場して2得点を挙げ、2位以下に3点差をつけた。史上初の偉業を達成し、歴史に名を刻んだ。

 今季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に始まり、昨年5月に他界した父克博さんと約束したW杯ブラジル大会出場も果たした。その後は疲労との闘い。2試合の出場停止処分明けの9月23日の大宮戦では初めてヒゲを生やして臨み、ハットトリックを達成。その後は川崎F移籍後最長ブランクの7試合無得点。普段は験を担がない-。ヒゲを剃り、スッキリと切り替えて最後は2戦3発で締めた。

 昨季は26得点で初の得点王となった。激動のシーズンで獲得した2度目の証しは、自宅の居間に飾られている左足の黄金のシューズ2つ。「来年は右にしてほしいね」。歴史はまだ続く。【桑原亮】