<天皇杯:G大阪3-1山形>◇決勝◇13日◇日産ス

 G大阪は5大会ぶり4度目の優勝。J1復帰1年目で00年度の鹿島以来の3冠達成だ。

 今季のG大阪は、リードをさらに広げる試合展開が目立った。通算32勝のうち、2点差以上で勝った試合は23試合と全勝利数の72%を占めた。同じく3冠を達成した00年度の鹿島は1点差勝ちが17試合と多かった一方で、2点差以上での勝利は11試合と全体の39%にとどまった。同じ3冠達成クラブではあるが、その勝ち方には違いが見られた。

 00年の鹿島は最少得点差を守り抜く勝負強さが光ったのに対して、今季のG大阪はさらに相手を突き放す爆発力があったといえる。この日の天皇杯決勝の2点差勝ちは象徴的。負ければ終わりだった11月22日のリーグ浦和戦も2-0で制した。J1リーグ戦では最終節まで浦和と勝ち点で並んでいたが、こうして積み重ねた得失点差が最後にものをいった感もある。

 もちろん、攻撃だけでなく守備も安定していた。GK東口を中心とした堅い守りで、失点は1試合平均0・92点。日本代表経験者のDF3人が主力だった00年鹿島(0・88点)と大差はなく、やはり守備力の高さは「常勝」には必要だ。

 一昨年のG大阪はリーグ最多得点を誇りながら、守備が崩壊しJ2に降格した。今季はその攻撃サッカーを継承しつつ、守備力も兼備。攻守にハイレベルだったからこそ、14年ぶりに3冠を達成することができた。【石川秀和】

 ◆ガンバ大阪

 前身は1980年創部の松下電器でJリーグは創設時から加盟。05年J1初制覇、その後はナビスコ杯、ACLを制し、天皇杯を連覇するなど日本屈指の強豪クラブに成長。12年にJ1で17位に終わり、J2に降格したが1年で復帰。GAMBAはイタリア語で「脚」を意味し、日本語の「頑張る」の響きにも通じる。本拠地は万博記念競技場(大阪府吹田市)。

 ◆00年度の鹿島

 トニーニョ・セレーゾ監督の就任1年目。第1ステージは8位に低迷したが、第2ステージ以降はベテランと若手の融合に成功。秋田、名良橋、相馬らベテラン守備陣と、小笠原、平瀬、柳沢ら若手攻撃陣がミックスされ、チーム力がアップ。第2ステージは15試合でわずか1敗の驚異的な成績で優勝を決めた。平瀬が公式戦15得点でチーム得点王。2トップでコンビを組んだ柳沢は7得点。途中出場が多かったが、本山もスーパーサブとして7得点を挙げて3冠に大きく貢献した。