東京が、J2磐田の元日本代表FW前田遼一(33)の獲得に乗り出していることが21日、分かった。複数のJリーグ関係者によると、来季の新戦力として万能ストライカーの獲得に狙いを定め、正式オファーを出した。2年連続J1得点王(09、10年)の決定力とともに、ポストプレーや裏への飛び出し、前線からのプレスなど幅広く動ける万能性を高く評価。来季J2で戦う磐田とは、今季で複数年契約満了も延長オファーを受けている。

 複数のJリーグ関係者によると、東京はすでに前田獲得の正式オファーを出している。東京は前田の攻守における能力を高く評価。11月はFW大久保獲得に乗り出していたが川崎F残留が決まっていた。東京は情報を精査し、必要な戦力として万能ストライカーに照準を合わせた。来季クラブ初のJ1優勝を狙うラインアップに前田の名前が並ぶかもしれない。

 ザックジャパンでは、ブラジルW杯アジア予選で1トップとして国際舞台でも力を発揮した。前線でのポストプレーで攻撃の起点になるだけでなく、裏への飛び出しや、長身を生かしクロスにも対応できる万能型。守備では前線から豊富な運動量でプレスをかける、献身的なスタイルは変わらない。決定力が高く09年に得点王に輝くと、続く翌年にも2年連続で達成。4年連続で2桁ゴールを決めるなど、J1で積み上げたゴール数は137点と、歴代5位で名ストライカーたちと肩を並べる。

 今季はJ2での戦いを強いられ、1年でのJ1復帰はかなわなかったが、33歳となった今も衰えていない。その万能性を持ってすれば、今季東京での基本布陣だった3トップのいずれの位置でもプレーが可能。チームとして失点数こそリーグ4位(33点)と守備で安定したものの、攻撃ではゴール数で伸び悩んで白星を取りこぼした試合も少なくなかった。前田の補強で、得点力アップを大きく期待できる。

 今季新人ながら13得点を決めてブレークした武藤とのコンビとなれば、破壊力はさらに増す。神戸から獲得オファーを受けているFW渡辺の去就にかかわらず、新戦力として加われば東京の悲願のリーグ制覇も大きく近づいてくる。