岳人の左足が火を噴く。昨季は無冠だった広島のMF野津田岳人(20)が、15年を大ブレークの年にする。無回転ミドルが得意なレフティーには、浦和に移籍したFW石原直樹(30)に代わる活躍が期待され、今年の目標に「10ゴール」を掲げる。レギュラー奪取とともに、16年リオデジャネイロ五輪を目指すU-22(22歳以下)日本代表にも定着して、3月のリオ五輪予選での活躍を狙う。

 -昨季は18試合2得点、チームとしてもリーグ3連覇を逃して無冠だった

 野津田

 チームとしても悔しさの残るシーズンだったし、個人としても、もっともっと結果を出したかった。一昨年は1度もなかった先発出場が7試合あったが(先発では)ゴールを取れていない(12年は20試合4得点)。

 -今季の目標は

 野津田

 レギュラーをとりたい。もっともっと自分がしっかりチームに貢献できる選手になりたい。そのためには結果。ゴールも2桁以上はとれるようにならないといけない。

 -リオ五輪を目指す「手倉森ジャパン」で出場した昨年9月の仁川アジア大会ではネパール戦で無回転の左ミドルを決めた。どうやって打っているのか

 野津田

 無回転シュートは左足を押し出す感じで打つ。昔から練習していた。最近は普通にシュートしても無回転になることがある。狙っている時もあるし、普通に打つ時もある。

 -モデルになった選手はいるか

 野津田

 最初は(06年W杯ドイツ大会のブラジル代表MF)ジュニーニョ・ペルナンブカーノだった。無回転シュートの蹴り方講座というコーナーがサッカー雑誌にあって、小学校のころにそれを見て練習した。(ACミランの日本代表FW)本田圭佑選手の映像も見ていた。07年5月の(北京五輪アジア2次予選)香港戦のFKはすごかった。

 -右45度の位置から2度曲がったシュートだ。得意の左足を使うため、取り組んでいることは

 野津田

 森保監督からは「ストロングポイントであるシュートをもっと積極的に打て」「常に動きながらプレーしろ」と言われている。ボールをさばいて前に出る、出したら動く。簡単にボールを失わない。もっとゴールに関わる。チャンスを作っていきたい。自分がパスを出して、ゴール前で振り向けるようにしたい。いかにシュートまでスムーズに運べるか。守備でしっかり走れて攻撃でも思い切って飛び出せる、運動量のある選手になりたい。FKでも無回転を打って決められるようになりたい。

 -チームでのレギュラー奪取と同時に「手倉森ジャパン」の活動もある

 野津田

 仁川アジア大会は自分としては納得はいかない大会だった。1ゴールしか挙げていないし、ベスト8で敗退した。決めるべきところでシュートを決めないと難しい。相手にとって怖い選手になりたい。だからこそシュートの部分を出せるように、持ち出しとか形を作りたい。ゴールに向かうために、前を向くプレーをもっと増やしたい。

 -3月にはリオ五輪予選が始まる。16年リオ五輪をどういう位置付けでとらえているか

 野津田

 五輪で、世界の強豪相手に自分の力を試したい。そこから世界に出て行きたいと思っているので。これまで世代別代表に選ばれてきたが、僕は世界大会を経験していない。自分自身が成長して、世界の舞台に立てるように。高いところを目指していきたい。【取材・益田一弘】

 ◆野津田岳人(のつだ・がくと)1994年(平6)6月6日、広島市生まれ。シーガル広島で幼稚園からサッカーを始め、広島ジュニアユースからユース。高校3年時の12年3月17日清水戦でJデビューした。当時は2種登録で13年にトップ昇格。J1通算43試合6得点。15歳から世代別日本代表を経験している。左利き。175センチ、69キロ。