山形DF渡辺広大(28=仙台)が、新天地で11年目のスタートを切った。チーム始動となった19日は、メディカルチェック組をのぞく14選手とともに室内で約1時間半の調整。ランニングや体幹トレーニングなど体を動かし、初日から持ち前の明るさを見せた。

 山形の一員となった渡辺には、すべてが新鮮だった。プロ11年目で初めて仙台以外のチームウエアに袖を通し、サッカーを始めてから「記憶にない」という体育館での練習。さらに「(年齢を)上から数えたほうが早いのは初めて」と話すように、チームで10番目以内に入る年長者になった。ランニングメニューでは、仙台でチームメートだったFW中島の横について情報収集。「いろいろ選手やチームのことを聞けた。どの立ち位置でいくか探っていきたい」と笑顔を見せた。

 仙台時代から唯一変わらなかった背番号には、大きな意味があった。2年目から9年間付けていた「3」は、山形では市立船橋高の1学年上の先輩にあたるDF石井の番号だった。渡辺は「心機一転、新しい番号で」と考えていたが、石井のJ2徳島への完全移籍が決定。すると「3番を背負ってくれ」と託されたという。昨季3バックの中央で昇格に貢献した先輩に代わり、新たなDFリーダーとして期待される男は「高校ですごくお世話になった石井さんが築いたものにプラスアルファしないといけない」と気を引き締めた。

 チームに溶け込むのは時間の問題だ。練習初日から声と笑顔を絶やさず、ミニゲームでは得点したMF日高や新人DF高木を真っ先に祝福した。出場機会に恵まれなくても「腐らずやってきた」と自負するだけに、石崎監督の厳しい練習は望むところ。さらなる成長を求めてやってきた「モンテディオの広大」が、新たな1歩を踏み出した。【鹿野雄太】