仙台は21日、泉サッカー場で全体練習をスタートさせた。渡辺晋監督(41)は「走力」「球際」「(攻守の)切り替え」の3つをテーマに掲げ、初日は有酸素運動をメーンにしたトレーニングを採用。グラウンド脇には雪が残り、一部の芝は凍った状態だが、選手たちは約2時間にわたって汗を流した。指揮官は「良いスタートが切れた」と満足そうな表情だった。

 渡辺ベガルタの、15年のチーム作りが始まった。仙台伝統の堅守速攻へ、ベースとなる走り、球際の強さやテクニック、攻守の切り替えの3つを整えていく作業に、さっそく着手。新加入選手の多い今季だからこそ、初日から目指すイメージを選手たちに抱かせることからスタートした。

 この日のメーンは有酸素運動のサーキットトレーニング。選手は体に心拍数を測る装置をつけ、自分の数値をチェック、ボールを操りながらポールなどの障害物をかわして走り続けた。今季就任した西形フィジカルコーチが考案したメニューで、ホワイトボードに選手の動きを図に描き、説明しながら取り組んだ。

 同コーチは「けがをさせず、90分間走る体力をつけるため。言葉で言うより絵のほうが理解してもらいやすい」と説明。負荷は少ないが、MF富田は「昨年より軽く感じたけれど、シーズンを通しての体力をつけるのに役立ちそう」。渡辺監督も「狙い通りの練習だった」と手応えを感じた様子だった。

 チーム作りで大切なことがもう1つある。同じ方向を向き、戦うために必要な団結力だ。この日は昨季在籍メンバーが率先して声をかけるなど雰囲気をつくり、ボール回しでも和気あいあい。仙台一筋11年目の富田は「まだみんなおとなしい感じはあるけれど、若返ったという印象。年齢的にも上になってきたので自分たちが和める雰囲気を出したい」。新加入のGK六反は「ウエルカムな雰囲気があるし、これから距離を縮めて深まりを出していければ」。昨季14位からの巻き返しへ、ベガルタ戦士の戦いが始まった。【成田光季】