山形MFアルセウ(30)が、寒波に負けず気合のノースリーブ姿で走りきった。千葉・館山キャンプ5日目の30日は大雨で気温3度と冷え込む中、1000メートル×8本の走り込みメニュー。キャンプ中に「体重を6キロ減らす」と意気込む新助っ人は、次々とジャージーを脱ぎ捨て、熱い闘争心を見せた。

 首都圏に雪を降らせた寒波も、降りしきる雨も関係なかった。練習時の気温は3度。1000メートル×8本の走り込み開始前は万全の防寒対策をしていたアルセウが、周回を重ねるごとに練習着を脱ぎ捨てていった。半袖短パンになり、残り2本からはノースリーブ姿で白い息を吐きながら完走。「体が温まってきたし、たくさん着ていると動くのに邪魔だからね。寒くても脱ぐよ」と笑みを浮かべた。

 日を追うごとに状態は上がっている。27日の同じメニューでは周囲のスピードについて行けず、はるか後方からスタートした組にも抜かれて最下位。最後は歩くほどまでペースダウンしていたが、この日は終盤でも地面を蹴り上げて走りきった。石井フィジカルコーチは「前回より速いペース。(1本あたり)4分を超えるくらいでは走っていた」とうなずいた。

 屈強なフィジカルを最大の武器とする守備的MFとはいえ、体つきや動きを見ても明らかに太め残り。自身も「体重をあと6キロは絞りたい」と、減量を今キャンプ最大の課題に挙げている。ベストという77キロにはまだ遠いが、日々のミニゲームでは当たりの強さやパス精度の高さを随所に見せ始めた。07年に柏でアルセウを指導した石崎監督は「ボールが落ち着くし、ミスが少ない。広いコートで良いところが見えてきた」と期待を込めた。

 最大の補強ポイントだったセンターラインの守備強化を託され、5年ぶりにJの舞台に戻った。「奪われても取り返す、あきらめないプレーを見てほしい」。アルセウが本来の姿を取り戻した時、中盤でJ1の強敵を圧倒するパワフルなプレーを見せてくれるはずだ。【鹿野雄太】<アルセウ・ホドリゲス・シモーニ・フィーリョ

 アラカルト>

 ◆経歴

 1984年5月7日、ブラジル・サンパウロ州生まれ。10歳から本格的にサッカーを始める。名門パルメイラスから07年に柏入り。08年には札幌に期限付き移籍も2月で退団。その後は母国でプレーし、09年から再び柏へ。今季山形で5年ぶりのJ復帰。

 ◆プレースタイル

 フィジカルを生かしたパワー系。「ボール奪取力とロングシュートには自信がある」。

 ◆好きな食べ物

 日本食はほとんど問題ないと言うが「納豆と生卵はダメ」。

 ◆好きな日本語

 「メッチャ、ガンバリマス」。

 ◆身長、体重

 177センチ、77キロ。既婚。