横浜の元日本代表DF中沢佑二(36)が1月31日、横浜市内で開催されたファン感謝イベントで恒例のステージパフォーマンスを披露した。毎年、芸の完成度の高さばかりに目がいくが、その裏にはともに歌って踊る若手への“メッセージ”が込められている。いかにサポーターを楽しませるか-。Jリーグの顔がボールを使わずともプロの技で魅了した。

 ボンバーこと中沢がマリノスタウン内の特設ステージで1万2477人のサポーターの注目を独り占めにした。開始早々、志村けんの「変なおじさん」になりきり、赤い腹巻きにピンクのステテコ姿で寒風をものともせず「ウンジャラゲ」をコミカルな振り付きで歌い切った。

 例年、パフォーマンスは1つだが今年はもう一丁!

 グラミー賞も受賞した米国人歌手ブルーノ・マーズに扮(ふん)し対照的にクールでマジメなダンスも追加。「2部作というか、今年からJリーグも2ステージ制なので」とコメントでも笑わせた。

 横浜名物となった中沢一座。「今年は何?」と期待させ、昨年の妖怪ウォッチなど、もはや風物詩となった。毎年若手を誘いキャンプの空き時間などに徹底的に練習する。若手との世代間ギャップを埋めチームに溶け込ませる狙いがある。さらに「長い間プロとしてやってきた選手もこんなことをするんだ、ファンとはそれほど大切なものだということを理解してくれれば」。ピッチ外でも若手にプロとは何かを伝えている。

 ともに踊ったリオデジャネイロ五輪世代、20歳のMF喜田は「ファンを楽しませる心、そういうメッセージを感じました」と思いを受け止めていた。やり切った中沢の目元には化粧が残り「もういいでしょ、疲れました。卒業します」と疲労困憊(こんぱい)。だが現役である限り出し物を続け、伝え続ける。まだ開幕前だが、中沢にしかできない文句なしの仕事だった。【八反誠】

 ◆中沢の出し物

 07年に本格スタート。この年は中沢が「DJ

 OZMA」に扮(ふん)し、当時新人の乾(現フランクフルト)もバックダンサーで参加した。中沢の日本代表活動などで、披露されない年もあったが09年にはマイケル・ジャクソンのスリラー、11年にはねづっち。13年はMF熊谷らを従えてゴールデンボンバー、14年は大人数で妖怪ウォッチのようかい体操第一を披露した。信念は「ただの宴会芸にならないように」。