仙台のMF藤村慶太(21)が、情熱の国スペインで修行した成果を見せる!

 宮崎・延岡キャンプ6日目の9日、痛めていた右足首捻挫から2日ぶりに全体練習に合流。今オフの武者修行から、ほぼ無休でキャンプインした攻撃的MFが、本職ボランチでのレギュラー争いに名乗りを上げた。

 シャイなんて言ってられない!

 MF藤村がスペインで身に付けた「声だし」宣言で定位置獲得を目指す。端正な顔立ちに、岩手・盛岡出身と東北人らしい穏やかな性格の21歳。「今年は声を出して指示もしていく。若手が中心にならないと」と、はつらつとした姿で練習に打ち込んでいる。

 盛岡商高卒で今年プロ4年目を迎える生え抜きだ。だが過去3年間で公式戦出場はカップ戦1試合のみ。技術はあるが性格的におとなしく、メンタル面に課題があった。そこで渡辺監督は「普段と違う環境で自信を持ってプレーできるたくましい選手になって欲しい」とGKダニエルと2人、オフ間の海外留学を提案。昨年12月中旬から約1カ月間、藤村は各国の有望若手が集うスペイン南東部ムルシアの「ラマンガ・クラブ」で武者修行を行った。

 人見知りの性格が災いし最初の1週間は「ボールが回って来なかった」という。そこで周囲を見つつ「足元(の技術)がうまくなくても、強い気持ちで向かっていくことが大事」と姿勢を変えた。積極的に声を出し、言葉が通じない分ジェスチャーも交えて自分をアピール。信頼関係を築く努力をし、初めてボールをもらえた。「自信を持って戦う気持ちを伝えるということに気付かされた」と精神面で成功体験を積んだ。

 今季は「何としても試合に絡み、最低でも10試合には出場する」と目標を掲げる。この日のゲーム形式の練習では、MF富田主将と組んでボランチでプレー。SBやCBもこなす器用な中盤だが「ボランチで勝負したい」と力強く言い放つ。強くなって戻ってきた藤村が、若き司令塔として躍動する。【成田光季】

 ◆藤村慶太(ふじむら・けいた)1993年(平5)9月2日、盛岡市生まれ。小2からFC手代森でサッカーを始める。乙部中ではSSCヴェローチェ盛岡ジュニアユースに所属。盛岡商高では1年からスタメンに抜てきされ、3年時には主将として全国選手権出場。12年に仙台入り。180センチ、72キロ。