サッカーワールドカップ・ロシア大会に出場する日本(FIFAランク61位)がスイス(同6位)に0-2で完敗した。これで西野朗監督(63)の就任後2連敗。海外組も加わった国際Aマッチは昨年10月のニュージーランド戦の勝利を最後に7戦勝ちなし。危機的状況にもみえるが、西野監督は「危機感ということは、まったく感じてはいません」。当初の予定通りこの日の練習をオフにし、1度チームを解散。選手に約半日の自由時間を与えた。

 落ち着いているのか、そのふりをしているだけなのか。完敗したスイス戦から一夜明けても、西野監督はまったく動じていなかった。チャーター機で合宿地に戻るミラノ・マルペンサ空港。午後の練習を取りやめ、チームを一時的に解散し、選手を“解放”。約3週間の活動で早くも2度目の、西野流アメ作戦について「あらかじめ伝えてることなんで」と予定通りを強調した。ゆとりが売りの西野ジャパン。負けたから召し上げなんて強権は、発動しない。

 前夜の試合も、予定通りと表現しては失礼だが、強豪スイスにあっさり負けた。DF吉田がPKを献上、そして後半はカウンターから失点と、やられ方もいつも通り。決定力不足も相変わらず。そもそも決定機はなかった。日本が国際Aマッチで3連敗を喫するのは5年ぶりの屈辱となった。

 本番のコロンビア戦まで10日ほど。焦りや不安が募りそうだが、指揮官はまったく感じていないのか、一切外に出さない。「危機感は?」と聞かれると「なぜ、ネガティブにならなければいけないのでしょう?」と切り出し、語り出した。

 「決してチーム、私自身も、マイナスのイメージはまったくもっていませんし、いいチャレンジをしていると思います。チームとして危機感ということは、まったく感じてはいません」。凡人の予想をはるかに超えていく、危機感0%宣言。約4年ぶりにトップ下で先発した本田のプレーも「圭佑はかなり、手ごたえというか、持ったんじゃないですか」と評価した。

 W杯まで現時点で残る国際Aマッチは12日パラグアイ戦のみ。メンバーを固めて連係を磨く手もあるが、それもしない。「メンバー、システムを固定して精度を上げていこうという形ではなく、いろんな可能性を求めて」。次戦までに控えも含め全員起用を終えて見極め、ロシア入り直前にようやく完成度をはかる。

 「常に可能性を最後まで求めて。そのあと(パラグアイ戦後に)どう感じるか。チームの中で人が変わっても、成立するものだと思う」とまだメンバーも選考中のようだ。預言者のように、成功の絵が見えているとしか聞こえない、この動じなさ。見極めていたのか、まったく何も見えていなかったのか、それはW杯の結果でしか、測れない。【八反誠】

 ▼連敗スタート 西野監督は就任初戦のガーナ戦に続き、2戦目のスイス戦も完封負け。日本代表監督が就任初戦から連敗は、3連敗した95年の加茂監督以来で、無得点での連敗は92年のオフト監督以来となった。対戦相手も違うため、一概には比較できないが、前任のハリルホジッチ監督は3連勝スタートだった。