アフリカ勢の倒し方教えます-。コロンビアとの初戦を制した日本は、24日に同じく白星発進のセネガルと、1次リーグ突破へ重要な一戦を迎える。02年ワールドカップ(W杯)日韓大会で日本は、1次リーグ第3戦でアフリカのチュニジアを下し、初の16強を決めた。この試合で先制ゴールを決めた元日本代表FW森島寛晃氏(46=現セレッソ大阪強化部長)に、勝利への“道”を聞いた。スコア予想は1-0、キーマンはMF乾貴士(30=ベティス)だ。【構成=実藤健一】

 02年は後半からの出場。前半の戦いをベンチで見ながら、(ピッチに)入ってからのイメージを作っていた。圧倒的にボールを支配しながら、なかなか均衡が破れない。その中でチュニジア選手の足が、止まってきたのが見えた。自分が入ったらとにかく動き回って、ボールがきたらシュートを打ってやろうと。積極的にいけたのが、結果的にゴールにつながったと思う。

 ★粘り強く 同じアフリカといっても、当時のチュニジアとセネガルの特色は違う。その中で、アフリカ勢に共通するのが「個の強さ」。スピードがあり、フィジカルも強い。セネガルのポーランド戦での得点シーンを見ても、その強さが際立っていた。もうひとつが「必ず隙は生まれる」。アフリカのチームは個に頼った大ざっぱな印象が強かった以前に比べ、かなり組織的になった。だが、どこかで集中力が切れたり、我慢できない部分が出てくる。そこが日本にはチャンス。早くに1点を取る必要はない。あわてず、我慢強く、粘り強く戦っていけば、必ずチャンスが生まれる。

 ★キーマンは乾 最も得点の可能性がありそうなのがセットプレー。ゴール前でFKがほしい。そのために必要なのが「仕掛ける」選手。初戦でなかなかチャンスを生かせなかった乾だが、自ら仕掛けて相手の守備陣に潜り込んでいける能力がある。乾が仕掛けて相手DFを混乱させられれば、ゴール近くでFKのチャンスも増える。初戦で出番がなかった宇佐美も、同様の仕事が期待できる。

 ★予想1-0 セネガルの初戦を見る限り、前はスピード感があり、一発での局面は迫力がある。日本はそんな相手の持ち味を出させないよう、じらして、じらした中で生まれるチャンスをものにしたい。攻撃面は大胆に、守りではミスをしない。お互いに負けられない試合。1点をいかに取れるかが、本当に重要な試合になる。スコア予想は1-0。日本が粘り勝つ。

 ◆02年日韓大会チュニジア戦VTR 1勝1分けで迎えた長居での1次リーグ第3戦。日本は2点差以上の負けで敗退だった。前半を0-0で終え、後半開始から森島を投入。その3分後、右サイドからこぼれてきたクリアボールを右足で蹴りこむミドルシュートで先制。さらに中田英寿のゴールで2-0と快勝した日本は、初の16強を決めた。試合が行われた6月14日をサポーターは「モリシ記念日」とし、毎年長居に集まるイベントもあった。

 ◆森島寛晃(もりしま・ひろあき)1972年(昭47)4月30日、広島市生まれ。東海大一(現東海大翔洋)から91年にC大阪の前身ヤンマーに入社して以降、C大阪ひと筋の元祖「ミスターセレッソ」。J1通算318試合94得点(J2通算43試合12得点)。日本代表通算64試合12得点。98年フランス大会、02年日韓大会と2度のW杯に出場。08年に引退。現在はC大阪フットボールオペレーショングループ部長(強化部長)。愛称「モリシ」。