日本サッカー協会(JFA)相談役で、元キャプテンの川淵三郎氏(81)が29日、ツイッターを更新し、0-1で負けていたポーランド戦の終盤にボール回しを続けて時間を稼ぐ判断を下し、コロンビアに01-で負けたセネガルをフェアプレーポイント差でかわして2大会ぶりとなるワールドカップ決勝トーナメント進出を手にした、日本代表の西野朗監督(63)を「名監督誕生!」などとたたえた。

 日本代表は0-1で負けていた中、セネガルが同時間帯に行われたコロンビア戦で、後半29分に1点をリードされたことを受けて、そのままのスコアをキープするためボールを回し、時間を稼いで試合を終え、勝ち点4で並んだセネガルを、フェアプレーポイント差で上回り決勝トーナメントに進出した。川淵氏は「残り10分以上ある時点でボール回しを始めた時頭にきた。コロンビアがリードしているとは言えセネガルが一点取ったら終わり。自力で勝ち取れよ!と」と、勝ちにいかない西野監督の、他力本願とも言える采配に、最初は怒りを感じたと吐露した。

 その上で、川淵氏は「しかし監督は日本が一点食らうと全て終わる。ボール回しで時間を空費してコロンビアの勝利を信じた方がトーナメント進出の確率が高いと!」「一点差で仮に負けても決勝トーナメントに進出する可能性が高いと判断しての作戦がピタリ的中した。残り五分位ならいざ知らず10分以上ある中で」と、西野監督の“究極の選択”が結果につながったことを高く評価した。

 西野監督は試合後の会見で「万が一という状況はこのピッチ上でも考えられましたし、他会場でも万が一があるわけです。選択をしたのは、そのままの状態をキープすること。このピッチ上で万が一が起こらないよう他力の選択を選んだ」「負けてる状況をキープしている自分、チーム、本意ではない選択をしている。他力を頼っている我々…。非常にシビアな状況だったと思う。最終的にこのまま、このままでいい。選手たちがいかなるブーイングに負けず、実行した」と本意ではないながらも、他力で決勝トーナメント進出にかける選択をし、結果を出したことを強調した。

 川淵氏は、そうした西野監督の一連の判断について「しかしこれが裏目に出たら西野監督は一生 批判を浴び続ける事になる。その覚悟を持っての決断は誰にも出来るものではない。西野監督は本当に腹が座っている」(コメントは原文のまま)と、西野監督の勝負師としての勘と胆力を絶賛した。