「大きな誇り」「今日で終わるのが残念」。ワールドカップ(W杯)ロシア大会の決勝の舞台となったモスクワのルジニキ競技場は15日、興奮に包まれ、試合終了後も熱気は冷めやらなかった。地元ロシアのサポーターからは祭典の終幕を惜しむ声が出た。

 スタンドでは、ゴール裏で三色旗を振るフランスサポーターと、赤と白のチェック柄のシャツを着たクロアチアサポーターがほぼ相対して陣取った。敗退した国々のサポーターも駆け付け、約7万8000人の満員になった。

 サポーターの数ではクロアチアが圧倒。「準優勝でも、歴史に残る成果で大きな誇りだ。人口400万人の小さな国全体が幸せを感じている」。首都ザグレブから来た会社員のサンディ・マルシッチさんは試合後、満足そうに語った。

 アイルランドから来たフランス人のコナー・マーフィーさん(37)は初めて訪れたロシアで人々の親切さに驚いた。「欧州でロシアのイメージは悪いが、自分の目で見て考えを改めた面がある」と話した。

 ルジニキ競技場は1980年のモスクワ五輪のメイン会場で、当時は米国や日本など西側諸国がボイコットし政治が影を落とした。この日の決勝戦を観戦したロシア人の年金生活者アレクサンドル・ペトロフさん(57)は「みんな笑い合い、モスクワ五輪と比べものにならない陽気な空気があった」と振り返り、大会終了に寂しさも見せた。

 クロアチアのサポーターは試合後「ありがとう、ロシア」と連呼し、大会運営に感謝を示した。

 有給休暇を取って同僚と準決勝、決勝の2試合を見たという岡山市の会社員阪口遼さん(29)は「いつか日本でW杯を見てみたい」と期待した。