5季ぶり5度目のプレミアリーグ制覇を果たしたチェルシーのサッカーは、はたして退屈だろうか?

 マンチェスターの地元紙、マンチェスター・イブニングニューズ紙(電子版)がコラムを掲載。「チェルシーの臆病なサッカーは成功したが、退屈だ」と、今季プレミア王者を批判している。

 同コラムによれば、「チェルシーが現在のベストチームであることは間違いないが、チェルシーファン以外の人気を獲得することは難しいだろう」とのこと。

 そして昨季102ゴールを記録する攻撃的サッカーで優勝したマンチェスターCのペジェグリニ監督には、チェルシー・モウリーニョ監督を批判する権利があると、マンチェスター勢の肩を持っている。

 今季チェルシーのゴール数は、35試合終了時点で69点。残りは3試合で、100点どころか、80点にも届きそうがない。

 同コラムは、チェルシーが最近の試合でアーセナルと0-0で引き分け、マンCとは今季2試合ともに1-1のドローで、マンチェスターUにはかろうじて1-0で競り勝ったことを挙げ、「臆病な戦いぶり」だったとしている。

 また「サッカーがエンターテインメント・ビジネスである以上、魅せる、攻撃的なプレーを提供しなければならない。今後、チェルシー予備軍のようなチームが続々と現れることを恐れている」とも記している。

 米国では「世紀の一戦」として開催されたボクシングのメイウェザー対パッキャオ戦が批判を受けている。

 激しい打ち合いがなく、両者ともほとんど無傷に終わった内容に、「お金と時間の完全なる無駄遣いだ」と、バッシングが集中した。

 「打つより、打たれない」メイウェザーの戦いぶりが、チェルシーの「点はそれほど取らないが、相手にも取らせない」というスタイルに似ているということだろうか。

 「チェルシーはサッカー界のメイウェザーだ」という論調の記事も、海外メディアには多く見かけるようになった。

 ただ、筆者自身はチェルシーの戦いぶりは「アリ」だと思う。プロである以上、何よりも勝つことが優先されるべきだし、どんな内容であっても応援するチームが勝てば、ファンは良い気分でスタジアムを後にすることができるからだ。

 もちろんモウリーニョ監督だって、5-0で勝てる試合を、あえて1-0にしているわけではない。上位陣に力の差がそれほどないから、結果的にそうなっているに過ぎない。

 みなさんだったら、バルセロナが8-0で勝利したコルドバ戦と、チェルシー対アーセナルや、チェルシー対マンC、マンUの試合のどちらを見たいだろうか。

 筆者なら間違いなく後者を選ぶ。プレミアリーグが16年から19年までの放映権を「スカイ・スポーツ」と「BTスポーツ」に1兆円近い額で売却できたことが、その魅力を物語っていると思う。