「海外サッカーよもやま話」といいつつ、今回のコラムはちょっと国内の話題からスタート。

 柏のDF増嶋竜也(30)が1日の練習後、底抜けに明るい表情を見せた。増嶋は今年3月の仙台戦で左膝前十字靱帯(じんたい)を損傷。懸命なリハビリの結果、28日からチームの練習に再合流を果たしていた。

 もちろん明るい理由はそれだけではなかった。前日27日に玲子夫人が第1子となる長男を出産。お産に立ち会っている最中は涙が止まらなかったという増嶋は「感動しました。今までで1番感動したかな。めっちゃ泣きましたもん。たまんなかったです。(妻は)本当に頑張ってくれた。よく子供が産まれたら自然と結果をだす選手が多いけど、分かる気がします」と、新たな家族を授かった心境、夫人への感謝の気持ちを素直に口にした。

 確かに、サッカー界をはじめ、スポーツの世界では子供の存在を力にして活躍している選手は多い。サラリーマンが会社に子供を連れてくることはあまりないが、多くのスポーツ選手がスタジアムに子供を連れてきて、自分のプレーを見せている。

 また、Rマドリードのエース、ポルトガル代表FWクリスティアノ・ロナルド(30)はことあるごとに自身のSNSに息子クリスティアノ・ロナルド・ジュニア君と一緒の写真を掲載。溺愛している様子がうかがえる。

 マンチェスターUのイングランド代表FWウェイン・ルーニー(29)も長男カイ君と次男クレイ君の写真をよくインターネットにアップする。今年5月7日にフェイスブックに投稿した動画にはカイ君がアリシア・キーズの「ガール・オン・ファイア」を熱唱する姿が映っていた。

 これだけかわいらしい子供がいれば、だれだって頑張れるというもの。増嶋もケガをして長いリハビリの最中には、何をやってもやる気にならない時や、サッカーを見たくない時が、何度もあったという。「でも子供ができていたから、それが唯一の救いだった。(復帰への)モチベーションになった」と話す。

 増嶋は今年4月に30歳になった。サッカー選手としては徐々に体力が下り坂になっていってもおかしくはない。「良いときに生まれてくれた。(ケガをして)1番苦しい時で、しかも30歳を過ぎて先が見えてきそうな年齢だから。そこで『もう1回頑張ろう』と思わせてくれるような存在だと思う。もう5~6年、35歳までバリバリ試合に出られるようにして、子供の記憶に残したい」。

 くしくもロナルドもルーニーも、増嶋とほぼ同年齢。2人とも年を取るごとにプレースタイルこそ変化しているものの、サッカー選手としての輝きはいっこうに衰えない。お父さんになった増嶋も、精神的にも一回り大きくなってピッチに戻ってくるに違いない。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)