複数の英メディアが数日前、プレミアリーグ3位アーセナルが、首位レスターから敏腕スカウト部長を引き抜いたというニュースを報じた。

 FWバーディーやMFマレズ、MFカンテら主力の獲得に尽力し、今季の快進撃の礎を築いたというのがスカウト部長だったベン・リグルワース氏。その手腕を買われ、アーセナルへヘッドハントされた形となったのだ。

 だが「アーセナルのベンゲル監督は間違った人物をヘッドハントした」と主張する人物が現れた。レスターOBで、名古屋でもプレーした元イングランド代表FWゲーリー・リネカー氏(55)だ。

 英デーリーメール紙(電子版)によると、リネカー氏は「アーセナルは間違った人物をレスターから引っ張っていった。笑えるよね。本当は(助監督の)スティーブ・ウォルシュが(バーディーら)主力の選手たちを連れてきたんだ。ウォルシュが誰か別の選手を見に行った時、マレズを連れ帰ってきたことも知っているよ」と話しているという。

 リネカー氏は子供のころから生粋のレスターファン。「7歳か8歳の時から、祖父、父とともにシーズンチケットを持っていた。アウェーの試合にも行ったし、69年のFA杯決勝で(マンチェスターUに)負けた時は、家まで泣いて帰った」というほどだ。

 だからこそ、アーセナルによる“スカウト部長強奪”は許せなかったのだろう。「ウォルシュ助監督は、レスターの成功につながる素晴らしい仕事をしているよ。ビッグクラブに比べたら少ない予算でね」と、リグルワース氏の引き抜きなど何でもないと言いたげに話している。

 そのリネカー氏によると、現在のレスターは60年代の強かったころのチームに雰囲気が似ているという。「60年代は良いチームだったし、魅せるチームだった。今のレスターもちょっとそれに似ている」。

 ただ、60年代のレスターは3度FA杯決勝に進みながら、いずれも準優勝に終わった。日本代表FW岡崎慎司らを擁する今季のレスターがあと1歩の壁を乗り越え、リーグ戦初優勝という新たな歴史を刻むことを期待したい。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)