一時代を築いたマンチェスター・ユナイテッドから、古巣エバートンへ復帰したイングランド代表FWウェイン・ルーニー(31)が、マンUサポーターたちを激怒させてしまった。

 きっかけは英ミラー紙の記事。エバートンからマンUへ移籍したベルギー代表FWロメル・ルカク(24)へアドバイスを求められたルーニーは「マンUでプレーする時は、実力とともに気持ちの強さが試される。常に成功を求められるクラブだから、精神的に強くないといけない。それができれば、ロメルの力からすればマンUでも成功する。しかし周囲の雑音を気にするようなら成功は難しい」とコメントした。

 そこまでであれば、先輩からの心優しいアドバイスで終わっていた。しかしルーニーは続けて、言わなくてもいいところまで踏み込んでしまった。マンUでプレーすることの重圧がどのようなものか、そして主将として仲間をまとめることの困難さまでアピールしだした。

 ルーニー マンUにいる以上(ピッチ内外で)クラブの高い基準を満たさなければならない。それはファーガソン監督の時代に培われ、ギグスやガリー・ネビル、スコールズらによって受け継がれてきた。ここ何年かは、僕とマイケル・カリックが、新加入選手たちにそれがどういうものか教える立場だった。しかし何人かの選手の入団によって、マンUの伝統を維持するのが難しくなってきた。でも、もうそれは僕の問題じゃない。僕はただエバートンに戻れて最高にうれしいよ。

 これにマンUサポーターたちが反論した。

 「退団して5分もたたないうちに、かつてのチームメートを批判するなんて。恥ずべきことだし、敬意を欠く態度だ」

 「ルーニーの発言に腹が立ったけど、彼に同意するよ。彼はマンUの高い基準を満たせなくなったから退団したんだ」

 「ルーニーは正しい。マンUは選手の基準を下げ続けてきた。しかしモウリーニョ監督のもと、かつてのレベルを取り戻した。だからルーニーは今、エバートンの選手なんだ」

 「ルーニーの発言は残念だし、根拠がない。彼こそ、エレラやマタ、ラッシュフォードやデヘア、イブラヒモビッチたちに支えられてきたんだ」

 などとSNSにはルーニーへの批判の声が集まった。

 サポーターの中には「本当にルーニーがこんなことを言ったのか?」と、ミラー紙の報道自体を疑う声もある。

 本当のところは分からないが、プレミアリーグを代表する選手として輝きを放っていたあのルーニーが、ゴシップのような記事にだけ登場するのは寂しい限りだ。

 ルーニーはエバートン復帰初戦となったタンザニアでのプレシーズン戦ゴル・マイア戦でいきなりゴールを決めて、幸先の良いスタートを切った。新天地でもうひと花咲かせ、実力で批判の声を封じてほしい。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)