サッカー界をはじめ、プロスポーツの世界は契約社会だ。シーズンの最初に週給いくらと契約を結んだら、ケガで全休しようが普通は満額の給料が支払われる。

 もし高額契約の選手が負傷し、満足なシーズンを送れなかったとしたら、それはクラブにとって不運としか言いようがない(もちろん選手の自己管理能力が不足していれば自業自得だが)。

 そういう観点から、16-17年シーズンのプレミアリーグで最も不運だったといえるのが、グラルディオラ監督が就任したマンチェスター・シティだ。

 英テレグラフ電子版によると、主将のベルギー代表DFコンパニーが255日間、戦列を離れていたのをはじめ、アルゼンチン代表FWアグエロ、イングランド代表MFスターリング、ドイツ代表MFサネ、ブラジル代表FWガブリエルジェズスらが軒並み故障。

 ケガの合計回数は30回と少なかったが、中心選手の負傷が多く、彼らが戦列を離れている間に支払った給料は1830万ポンド(約27億4000万円)にものぼるという。それでも3位に入ったのはグアルディオラ監督の手腕のなせるわざか。

 一方、勝ち点24しか奪えず、最下位となったモイズ監督のサンダーランド(現在はグレーソン監督)は、ケガの回数がリーグ最多の58回。毎試合、少なくとも3人が離脱していた。

 これだけでもチームのやりくりが相当厳しかっただろうと想像がつくが、一方で故障者が戦線離脱している間に支払った給料は合計1165万ポンド(約17億4000万円)。ケガの合計回数を考えれば意外と安い。

 マンCに比べ、もともと週給が安い選手が多いのが理由で、そんな中でさらにケガ人が続出しては、モイズ監督でなくてもお手上げだ。故障者への給料27億円を“捨てる”ことになってしまったマンCよりも、サンダーランドの方が悲惨だと思うのは筆者だけではないだろう。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)