前回のこのコラムで「W杯ロシア大会が行われるスタジアムをISISが襲撃する可能性がある」というテーマについて書いたが、テロリスト以外にも危険な存在がいる。

 英サン紙(電子版)によると、ロシアの悪名高きフーリガンたちがW杯をめちゃくちゃにしようと手ぐすね引いて待っているという。

 ロシアの凶悪なフーリガンたちは、16年欧州選手権フランス大会が行われていたマルセイユで、イングランド代表サポーターを襲撃。2人を昏睡(こんすい)状態にするほどの残虐な暴力行為を働いた。

 これにより391人のロシア人フーリガンが、スタジアムへの立ち入り禁止令を言い渡された。

 だがサン紙によると、これを命じたロシア当局は18年W杯があることをまるで考慮しておらず、391人中、204人のフーリガンについてはW杯が始まる前には禁止令の期限が切れ、スタジアムに入れるようになるという。さらにその他の10人も、大会後半には立ち入り禁止令が解ける。

 マルセイユのスタジアムに向かう途中でロシア人フーリガンにハンマーで頭を殴られ、今でも意識が戻らないスチュワート・グレイさんの母アンさんは「ロシア当局が外国人を守ってくれるなんて、まったく信じられない」という。そして英国人の女性たちには、自分の息子や夫がロシアに行くことを止めるべきだと主張している。

 来年の夏は多くの日本人サポーターがロシアを訪れるだろう。ロシア人フーリガンは16年欧州選手権ではイングランドサポーターを標的にした。だがW杯で日本人が狙われないという保証はない。ロシアでは十分に注意して、常に逃げ道を頭の中に入れて行動した方が良いだろう。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)