時として、かわいいことがマイナスに作用することもあるようだ。ブラジルの「美しすぎる審判」フェルナンダ・コロンボ・ウリアナさん(25)が、11日のアトレチコ・ミネイロ-クルゼイロ戦においてブラジル1部での副審デビューを飾った。

 だがクルゼイロが1点を追う終了間際、同点ゴールにつながるかと思われたプレーをオフサイドと判定。同クラブの選手たちを激怒させた。クルゼイロFWモレノは試合終了の笛が鳴った後もしつこく抗議。レッドカードで退場処分となった。

 VTRを見返してもオフサイドではないように見えるため、その後も同クラブ関係者からウリアナさんへ非難が集中した。クルゼイロのスポーツ・ディレクター、マトス氏は「アシスタント・レフェリーはかわいかった。でもこのリーグで審判をする力量はまだ備わっていない」と怒り心頭。「かわいいのならプレイボーイ誌でポーズでもとっていればいいんだ」とセクハラまがいの捨てせりふで、ウリアナさんを攻撃した。

 その試合の直前のカップ戦においても、疑わしいオフサイド判定が5回ほどあったということで、ブラジル連盟は、ウリアナさんに再度、研修を課し、2試合で審判から除外した。選手の生活がかかっている試合で、だれであろうとミスは許されないということだろう。

 ただ副審がブロンドの美人ではなく、普通の男性だったら、ここまでの騒動になっただろうかという疑問はわいてくる。マトス氏が「男性誌でヌードになってろ」と差別的に言い放ったことから推測すると、最初から「女性だから技術がない」という先入観があったように思えてならない。

 問題のプレーも、同点ゴールを決めたプレーであれば話は分かるが、実際はFWがDFラインを抜け出してボールを触った時点でプレーは止められている。チャンスをつぶされたことに怒るのは理解できるが、その後、得点を決められたかどうかは微妙なプレーだった。

 まあ私がウリアナさんを擁護しなくても、彼女は後日しっかりと自分の意見を述べている。地元メディアの取材に「私は男性誌から(ヌードの)オファーを受けてもいないし、受けたくもない。あの発言は、サッカー界に依然として性差別がはびこっている証拠でしょう」と話したという。

 ちなみにブラジルで最も有名な女性審判だったアナ・パウラ・オリベイラさんは、07年に審判引退後、すぐにプレイボーイ誌に登場したという。「私は技術を改善して、次の試合に臨むだけ」というウリアナさんは今後どうなるのだろうか。同じ道をたどってほしくないような、たどってほしいような…。あっ、これも男性目線か。